三池崇史監督演出
「座頭市」
初日をみてきました。
with 金子修介監督。
主演は、今回がなんと初舞台になる
哀川 翔 さん
共演が、阿部サダヲさん、遠藤憲一さん、長門裕之さんほか。
やっぱりあの世界の三池の演出などなどあるためでしょう。
初日の客席の顔ぶれは豪華でした。
(コマ劇の入り口では演劇ぶっく社の坂口さんにばったり出会ったり、坂口さんはべつに座頭市をみにきたわけではなく、単に通りすがりだったみたい(笑))
が、
そんなのを見に来ているわけではないのです。
やっぱり、見所は・・・
(1)世界の三池の舞台演出(2度目)がどうなるか?
(2)哀川翔さんの初舞台がどうなるか?
(3)あの「座頭市」をこのメンツがどう舞台作品として料理するか?
の三点だと思います。
ちなみに、僕は三池作品が好きですが、それは必ずしも世界的に評価されているからと言うわけではなく、あたりまえですが、作品が好きで、その作品の何がいいかと言うと、「哀愁がある」ってことですかね。「影」がある。もちろん全部の作品がそうではなく、また全部の作品を手放しに好きなわけではないですが、僕の好きな三池作品の肝要は「哀愁」なのです。人間の哀しみから目をそらさない作劇が三池さんの作品の魅力なのです。
たとえば、
「極道黒社会 RAINY DOG」
「喧嘩の花道 大阪最強伝説」
「極道戦国志 不動」
「DEAD OR ALIVE 犯罪者」につづくDOAシリーズ
先日偶然WOWOWでみた「鬼哭 KIKOKU 」
物語の奥底に、重く流れる悲しみの音。
それが三池作品の魅力。
だと思っているわけです。
そして、三池さんは、自分の魂の奥にある「哀しみ」に共鳴する同志を得た。それが脚本家のNAKA雅MURAさん。
「喧嘩の花道 大阪最強伝説」で、木村俊樹プロデューサーに引き合わされて以来のコンビです。(ちなみに、最近、ヴィジョンファクトリーで配信した携帯ドラマの制作はぼくが木村プロデューサーにお願いしました)
NAKA雅MURAさんは、この名前がウザイ(笑)そしてこの子供のようなウザさにこそ、NAKA雅MURAさんの脚本の面白さがあり、そしてそここそが三池さんが共鳴している部分なのだということが、2人の関係を良くは知らないけれども伝わってくる。NAKA雅MURAさんが書いた三池監督の映画「46億年の恋」のシナリオを見たことがあるのですが、そのウザさったらない。三池さん以外の監督なら、これをどうやって撮れっちゅうんじゃと怒りだしそうなウザいシナリオ。しかしそこに三池さんはNAKA雅MURAさんの心意気とロマンを見るんだと思う。
脚本家と演出家(監督)はビジネスパートナーであるが、単なるビジネスパートナー以上の何者かなのだ。それは恋人や夫婦に近い。もちろん、ビジネスライクにさくさくやる仕事もあるが、魂の共鳴があって燃える恋のように作品に向かう。そんな時もある。ぼくはきっと三池さんとNAKA雅MURAさんはそういう幸せな関係なのだと夢想する。
で、そのNAKA雅MURAさん脚本で三池さんが舞台をやるという。
これだけで見ないわけには行かないでしょう。
で、初日。
これから観る人も多いと思うので、あんまりネタバレをしたくない。
簡単に言うと、すごい部分とすごくない部分が混在している。
すごい部分の一番は殺陣である。舞台上で長廻しノンストップ、ワンカットの殺陣を披露している。これはすごい。初日こそ、ぎこちない部分もあったが、後半になればなるほど演者たちは上達し殺陣のすごさはアップするはずだ。三池さんらしいシーンである。
すごくない部分の一番はコマ劇場という舞台に似合い過ぎたベタな大衆演劇的な表現である。かなりベタで、いくら確信犯だと言っても、ちょっとなぁと思うシーンがないではない。客層がかなりコマ劇場系のおばさまも多いことを考えると、きっとそのベタさは物語理解のたすけになるんだろうが、小劇場出身者の僕的にはちょっとベタすぎだろと思う点が多かった。
そして、何よりの問題は、物語がすっきりしていないことだ。沢山の魅力的な登場人物が居るのだが、それぞれの話が濃すぎて盛りだくさん。ごちゃごちゃしている。映像ならば、表情のアップも取れるし場面転換もバンバンできる。ごちゃごちゃした情報をもう少し整理することが出来る。しかし、演劇はアップできないし場面転換に関しても不自由だ。観客に届く情報量が少ないから、ごちゃごちゃしている情報は整理されずに観客に届けられることになり、結果良くわからないことになっている。
「演劇」を良く解っていないんじゃないかと思う。
(僕が解っているような言い方でえらそうですが)
最低でも最近の蜷川さんの演劇とかを見ていれば勉強できるのだろうが、良く知られているように三池さんはそんな時間もないほど忙しい人だ。だから、理想の高い脚本、演出にも関わらず、「演劇」という異物の前に四苦八苦してしまう。三池さんの「座頭市」はそんな感じの作品に見えてしまった。ベタな演出場面が多々あることも、現代の「演劇」に対する理解の不足、これが影響しているように見えてならない。三池さん、NAKA雅MURAさんならば、もっと驚くものを作れるはずなので、そこがちょっと残念であった。
とは言うものの、さすがだと思う点もある。
それは遠藤憲一さんの演じる竜之介のエピソードである。たぶん本作品の中で一番観客の胸を打ち、そして一番、三池・NAKA雅MURA的なエピソードである。「哀しみ」が溢れている。遠憲さんは、殺陣についても、腕前を見せている。遠憲さんの声は低く男らしく地を這う。かっこいい。ぶっちゃけ今回の芝居は遠憲さんのためにあった舞台とさえ言えるかもしれない。
遠憲さんといえば、僕らの劇団が旗揚げのときに、木村俊樹プロデューサーが作ったVシネマ「集団殺人クラブ 最後の殺戮」(石川均監督、遠藤憲一さん主演)で、うちの劇団の新津や藤澤がお世話になっており、また先日の金子監督の作品「結婚詐欺師」では、井川千尋が遠憲さんの愛人役でお世話になったという浅からぬ縁がある。
哀川翔さんといえば、僕がサード助監督をつとめた那須監督作品「真説タイガーマスク」では主演で、僕は沢山哀川さんに粗相をしていたりする(>_<)。
三池崇史監督といえば、12月11日に幕を開けるうちの劇団の番外公演「クリスマス、愛の演劇祭」の中の僕が作・演出する作品「スノーグレーズ」に出演する原田健二さんの映画デビュー作「アンドロメディア」(Speed主演)の監督であったりする。
今回「座頭市」に出演している青山草太くんといえば、金子修介監督がシリーズ総監督をつとめたウルトラマンマックスで主演を務めているし、僕らの芝居も「偽伝、樋口一葉」、「農業少女」と見に来てくれた。「偽伝、樋口一葉」ではアフタートークにも出演してもらったっけ。
なんだか、たとえ無理やり感があろうとも、うちの劇団と関係浅くない舞台「座頭市」なのであった。
何が言いたいかと言うと、
そんなうちの劇団、アロッタファジャイナが、もうまもなく渋谷のギャラリー、ル・デコ4Fで、番外公演
「クリスマス、愛の演劇」
を開催するってことなのである。
我田引水と呼べば呼べ。
今回、この番外公演、なにがすごいかと言うと、1週間毎日、6つの異なる芝居を連続6時間ぶっつづけで公演するって言うことだ。毎日である。毎日6時間ぶっつづけで芝居をやるのである。
観客は1日6公演連続で芝居を見てぐったりするのもいいし、見たい1本を見てうっとりするのもいい。
1公演だけみるなら1500円、6公演連続で見るなら1公演550円という格安値段でお芝居が見れるのも素敵だ。だまされたと思ってぜひ見に来ていただきたい。今日からシアターコクーンで始まる野田秀樹さん作演出、妻夫木聡くん主演舞台「キル」を見るついでに渋谷でふらりとよってみてください。JR渋谷駅から徒歩5分です。
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