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2012/03/06

「日本の問題Ver.311」プロデューサーとして

以下はさっき書き上げたプロデューサーとしてのあいさつ文です。
当日パンプレットの印刷に間に合うかどうかわからないので、ここに載せておきます。
本日初日です。11日までやっています。お席ありますので当日でもいいので見に来てください。
最後の座談会含め2時間です。

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本日はご来場いただき、まことにありがとうございます。
本公演を企画し、参加する学生劇団の皆を生あたたく見守る役目のプロデューサー松枝です。
さて、古来より、日本人は、言葉を短くし、そこに長大な意を込めることに長けていますが、僕としましては、本企画のタイトルに「Ver.311」と入れたのを後悔しています。
「311」(サン・イチ・イチ)という言い方は、まぁなんと言いましょうか、逃げですよね。
「逃げ」といいますか、なんだか1年前に起こったことを直視しないですむための言葉というか、「Ver(バージョン)」なんていれることで少しおしゃれにすらなっている。
僕は、こんな言葉を使ってしまったことを「恥じ」ます。
恥じる・・・と言って、誰に対して恥じるのかなと考えました。
それはきっと、あの大震災で命を落とされた沢山の人たちに対してかなと思います。
また、いま生きて、悩み苦労して「損失」から立ち直ろうとしている被災者にたいしてかもしれません。
そのように必死で生きたかった、あるいは今生きている方たちに対して「Ver.311」などと気取った言葉を使い悦に入っている自分たちのことを恥じるのです。
なにもタイトルだけではありません。
学生4劇団の作り手のみんなは、日を追うにつれ、自分たちの「表現に困難を感じたのではないかと思います。
死者に対して、被災者に対して、僕らはこんなことをこんな風にしてやっていていいのだろうかと。
いつもの公演では味合わないような苦痛を創作が進行するにつれ味わったのではないかと想像します。
が、あらためて考えると、「表現」というものは、なにもこの震災企画に限らず、いつも「現実」に対する「恥じらい」を持たなければならなかったのだとも思います。
昨年、「日本の問題 学生版」というのをやった時、多くの人が、良い意味でも悪い意味でも、今時の学生は自分たちのことにしか関心が無いのだなと感想を持たれました。
あれから3カ月後の今回はどうでしょうか。
僕は、創作の過程で、学生たちが、被災地に行き、被災者に出会い、被災地のことを学び知ったのを知っています。
少なくとも、僕は、彼らが、本企画に参加しなければ出会わなかった「現実」の「痛み」に手を触れ火傷をしたのを知っています。
この三カ月の重さは半端が無かったと思います。
そういう意味では、僕は胸を張れます。
彼らは創作家にふさわしく、「現実」の凄さを知り、それに対して表現の無力さを知り恥じらいながら、しかし、強くそれを乗り越えて今ここに「表現」をしようとしている。
そのことを、僕は、泣きたいくらい、誇らしく思います。
で、終わり。という訳ではありません。
「現実と戦った」というだけでは、偉いね、頑張ったね、ということ「だけ」だからです。
残っているのは皆様に見られることです。
観客の皆様に見られて、「表現」としてそこにあっていいかどうかを判断してもらわないといけません。
どんなに「現実と戦った」ってその表現が拙ければ、表現者としてはダメです。
だから、今日は最終審判の下る日です。
全公演にアフタートークがついているのはそういう意味です。
皆様に置かれましては、彼ら、彼女らの苦闘に思いをはせながら、しかし、観客として厳しく彼らの芝居を見てやってください。
それは見る側の義務です。
あの犠牲者たちは、命を失い、もう二度と、芝居なんて見ることできないのです。
だから、観客にも義務があるのと思うのです。精一杯見る、生きる、死者たちに恥じることなき人生を生きるという義務が。
ご足労いただいたのに大変失礼な物言いとなってしまいましたが、遥か遠く雲の上にいる多くの犠牲者たちに見られていると言う気持ちをどこかに持ちながら、僕らが創作家として観客として、人間として、生きている人間として、いまという時間に胸を張れるかどうかが試されているのだと思うのです。
そんなことを考えながら、今日の舞台と、そして最後の座談会を見ていただけたらと思います。

「日本の問題」企画者・総合プロデューサー 松枝佳紀

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公演詳細

「日本の問題 Ver.311」

日程:2012年3月6日から3月11日

場所:渋谷 ギャラリー・ルデコ4

開演時間とアフタートーク・ゲスト

3/06(火)19:00 JACROW主宰・中村暢明さん & ミナモザ主宰・瀬戸山美咲さん
3/07(水)14:46 評論家・木俣 冬さん
3/07(水)19:00 東京家族ラボ主宰・池内ひろ美さん
3/08(木)14:46 評論家・カトリヒデトシさん
3/08(木)19:00 ニッポン放送・節丸雅矛さん & Mrs.fictions主宰・今村圭佑さん
3/09(金)14:46 水族館文庫代表・渡辺パコさん & 石巻出身の劇作家 ウィルチンソン主宰・矢口龍汰さん
3/09(金)19:00 DULL-COLORED POP主宰・谷 賢一さん
3/10(土)14:46 ミームの心臓主宰・酒井一途さん
3/10(土)19:00 経済とH主宰・佐藤治彦さん
3/11(日)14:46 写真家・所幸則さん & 小学館クリエイティブ・渡邉哲也さん

■演目
演目1「まだ、わかんないの。」
作:広田淳一(ひょっとこ乱舞)、演出:鳥越永士朗(劇団けったマシーン)
出演:角北龍、長瀬みなみ
(※)本作は、2011年7月のフェニックス・プロジェクトにおいてひょっとこ乱舞の新作朗読劇として広田淳一氏によって作演出され、好評を博した演目。今回、広田氏のご厚意により、上演させていただく運びとなった。

演目2「指」
作:瀬戸山美咲(ミナモザ)
演出:鳥越永士郎(劇団けったマシーン)
出演:小澤絵里香、高山五月(真空劇団)
(※)本作は、2011年11月の「日本の問題」B班においてミナモザの瀬戸山美咲氏によって作演出され、好評を博した短編演劇。今回、瀬戸山氏のご厚意により、上演させていただく運びとなった。

演目3「3.111446…」
作・演出・出演:岩渕幸弘(思出横丁)

演目4「アカシック・レコード」
作・演出:菊地史恩(四次元ボックス)
出演:朝戸佑飛、大鶴美仁音、長木健、原田宏治郎、毛利悟巳、佐藤修作(四次元ボックス)

演目5「止まり木の城」
作・演出:長田莉奈(荒川チョモランマ)
出演:あに子、モンゴル、三輪友実、吉武奈朋美、たこ魔女さん (以上、荒川チョモランマ) / 有吉宣人(ミームの心臓)
※上記キャストの内、毎ステージ3名が出演します。 詳細は荒川チョモランマHPをご覧ください。 http://arakawachomolungma.web.fc2.com

よろしければCoRichに応援のメッセージをよろしくお願いします。
PChttp://stage.corich.jp/stage_hope_detail.php?stage_main_id=26545
携帯http://www.corich.jp/m/s/stage_detail.php?stage_id=34398

その他詳細はHPにて
http://nipponnomondai.net/ver311/

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