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2010/10/24

罰ゲーム

「ProjectBUNGAKU太宰治」をガチの勝負の場にしたい。

というのが最初の会議での広田さんの発言でした。

複数劇団の短編コラボ企画は、仲良しになることを目的とした馴れ合いの企画となりやすい…という危惧が広田さんの発言の根源にはあったように思います。

短編といえども長編を作るぐらいの気合いとコストをかけて作り、ガチで勝負をしたい。

決して、それぞれの作品を、それぞれの劇団の特徴を詰め込んだCMにしない。ちゃんと作品として提出する。

そのために、この企画の場を、たゆまぬ努力を最後までせざるをえなくなるようなガチの勝負の場とする…競争を導入したい。

そんな発言を広田さんがされた時、谷くんは「喧嘩上等」と口角泡を飛ばし、しかし小夏さんは、演劇は競争するためのモノではないと反対を表明。

しかし広田くんは、ガチ勝負という条件を飲まないなら参加はしないと強硬発言。

もし競争を受け入れるなら…と考えた小夏さん。

「負けた演出家は、それぞれの情人を連れて、太宰みたいに玉川上水に飛び込むって言うのはどうかな」

やるとしても、そんぐらいのウィットが無ければやりたくない、ということでしょう。

そして、その小夏提案に爆笑大受けした4人の演出家はガチ勝負、負けたら入水自殺ということを企画の肝にしようと決めたのでした。

しかし…

今回の企画を進行するにあたって、製作総指揮である僕は沢山の人と話すことになるのですが、とくに、太宰治の御親族のかたがたや、アフタートークにも来て下さったお弟子さまの小野才八郎先生とお話ししたりするうちに、「負けた演出家は太宰を真似て玉川上水に飛び込むことになるんですよ、おもしろいでしょ、あはは」とはなかなか言えない状況になってきました。

だって、考えても見てください。

ぼくらあなたのお父様(お師匠さま)を尊敬していますから、今回勝負で負けた演出家はあなたのお父様(お師匠様)の自殺を真似た罰ゲームをするんですよ、あはは面白いでしょ?なんて残された息子さんや娘さん(お弟子さん)に言えますか?

企画を進めて行くうちに、僕が直面したのは、太宰治の死は歴史なんかにはなっておらず、ある人たちにとっては癒えることなく昨日の傷のようにヒリヒリと痛み続ける事件だってことでした。

で、「玉川上水に飛び込むって罰ゲームはやめましょうよ」僕が恐る恐る言い出したのでした。

最初は、「最下位になることを恐れてヒヨッタか松枝」的な感じでしたが(笑)、広田くんなんかも、太宰関係の書籍を読み進むうちに、とくに松本侑子さんの著書「恋の蛍~山崎富栄と太宰治」を読んだ後に、僕の言ったことを納得してくれました。

松本侑子さんの御本は、死んだ山崎富栄の真実が書いてある優れたご著書なのですが、これを読んだら、やはり軽々に彼らの死をもてあそぶような罰ゲームはすることができないのです。そう気付きはじめた4人の演出家。

ただし、本気競争が必要というのはやはり前提でした。

が、どんどん忙しくなり罰ゲームについては、代案を考え出せないまま、本番の幕が開けてしまいました。

とは言うモノの、罰ゲームは無くとも、広田くんの最初の提案通り競争は僕らを最後までたゆまぬ努力に追い込みました。千秋楽公演の寸前まで改善の努力は続けられたのです。

幕が閉じました。

勝ち負けの付け方についてはいろいろ議論もあったのですが、お客様第一ってことで、観客投票の結果によってこれを決めることに決めました。

だけど、罰ゲームについてはまだなにをどうするか決まっていませんでした。

そんなある日、深夜に広田くんからの電話がありました。

「面白い罰ゲームを思いつきました。これを越える罰ゲームはなかなかないんじゃないでしょうか?」

そして、ProjectBUNGAKU太宰治の罰ゲームは敢行されたのでした。

以下、その模様を映像にてご覧ください。

良い子の皆さんは真似しないように。


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