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2009/10/02

ナイロン100℃「世田谷カフカ」

下北沢・本多劇場で
NYLON100℃ 34th SESSION 
「世田谷カフカ」
を観た。

http://www.sillywalk.com/nylon/info.html

いつも思うことだがケラさんのバイタリティに感心する。
冒険をする。
お得意の手も使う。
作品としてちゃんとしている。
えらい。

作品としては
①カフカの諸著作
とくに「失踪者」「城」「審判」
のストーリーを中心としながら
②現実の世田谷区で芝居をしているナイロンの舞台裏
そして
③カフカ自身の人生
これらが交差してストーリーが紡がれていく。
僕の作品でいえば、「偽伝、樋口一葉」のパターンだ。

もちろん面白い。
さすがケラさんだと思わずにいられない。
舞台の使い方も素敵だ。
珍しく学生演劇っぽい乗りも悪くない。
横町さん素敵。
ダンス素敵。
カフカ役の中村靖日さんハマリ役。

だが、たくさんのストーリーを同時並行的に配置し紡いでいくというスタイルが生み出すことなのだが、常に観客はメタの視点を持つことを要請され、したがって、なにかに入り込むことができない。

これはケラさん自身の狙いでもある。

「意外性に富んだ筋運びに夢中になるうち、いつの間にか登場人物に感情移入して、一緒に泣いたり笑ったり怒ったりする。そんな楽しみ方が演劇鑑賞のスタンダードになっているのだとしたら、今回の公演を観て、面食らい、戸惑う人も少なくないかもしれない。」

だが、僕は入り込みたいと思ってしまった。

それは、ひとえに三宅弘城さんの演じる「失踪者」の主人公カール・ロスマンが素敵で、ほかの筋の主人公をはるかに上回るパワーを発揮していたからであると思う。

たくさんのストーリーを同時並行的にコラージュして配置し、そこから浮かび上がる「カフカ」なるものを食すというのが狙いの演目なのだろうが、ハカラズモ独り目立ちをしてしまっている三宅弘城さんのおかげで、「カフカ」なるものよりも、「カフカ」が作品「失踪者」において何を描いたか、のほうに興味を抱いてしまったのだ。

そうなると、僕は「世田谷カフカ」よりも、三宅弘城さんを主演に据えた「失踪者」を観たい。ケラさんがあれをどうするかを観たい。

「失踪者」の舞台化といえば、松本修さんの「アメリカ」があり、これはとても刺激的で素晴らしい作品だった。そしてケラさんの「世田谷カフカ」にも、松本修さんの「アメリカ」に影響を受けたようなシーンがいくつか散見された。

では、松本修さんと真っ向から戦ったらどうかと思うのだ。
ケラさんの演出し、三宅さんが主演する「失踪者」がみたい。
それが「世田谷カフカ」をみた僕の感想だった。

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