蜷川幸雄演出「エレンディラ」
初日みてきました。
次の僕の舞台で主演をする満島ひかりちゃんとみてきました。
受付近辺に蜷川さんがいて来場者に挨拶をされていました。
「きょうのはちょっと長いです」
言ってました。
実際、カーテンコールなどやっていると終電がやばくなる時間までやっていました。
休憩を2回挟んで、4時間ぐらい。
しかし、一切退屈しませんでした。
あの劇場いいね。
広々として。
走り回る楽しさ、それが伝わってくる。
砂漠から海まで
豪邸から売春宿のテント小屋まで
囚われの身からカーチェイスまで
思い出から未来まで
すべてを包み込む広さ、これが不可欠な芝居なのでした。
そして、すべてを包み込む南国の夏。
当たり前だけど
シェイクスピアとは違いました。
コロンビア出身の大作家ガルシア・マルケスの筆から匂う南国のカラフルであったり、猥雑であったり、そういう匂いがその広い空間に充満していました。
話の中心は、美波さん演じるエレンディラと、中川晃教さん演じるウリセスの恋物語。
藤原竜也君の「ロミオとジュリエット」もそうだけど、恋に盲目となる若者を描くのがなんとうまいこと。蜷川さんはいつまでも若く恋をする演出家なのだなあと思いました。僕も恋の話を、死にいたるまでほとばしる情熱の恋の物語を書きたいし演出したいなあと、見て、切に思いましたね。
その恋する蜷川演出にふさわしい肉体を美波さん、中川さんは披露しています。舞台上でフル・ヌードになるということがセンセーショナルに聞こえてきていたのですが、まったく違和感の無い美しい、そして恋する裸体でした。野田秀樹さんの「贋作 罪と罰」のときの美波さんの芝居は変な芝居だなあ、バタ臭いし・・・と思っていたのですが、このエレンディラは、たぶんはまり役というのもあるでしょうが、彼女の耐え忍ぶ純粋、恋をする純粋・・・これを表現する美波さんに、観る人はウリセスのように、かならず恋をしてしまうでしょう。
で、ニナガワスタジオに通う安川結花のブログにも書いてありますが、二人の恋をする抱き合うときの音楽が、ぼくが昨年、満島ひかりちゃんと広澤葵のダブル主演でやった「偽伝、樋口一葉」の音楽と一緒で、しかも恋人の男女二人が駆け寄って抱き合うときの音楽のかけ方まで一緒で、隣にいる満島ひかりちゃんとニヤリと笑ってしまったり。
それはそうとして、
エレンディラ、ウリセスの恋以外に
特筆すべきなのが、瑳川哲朗さん演じるエレンディラのおばあちゃん。
この存在感があってこの芝居は成り立ちます。
二つの生きているお墓など含め、ジブリ的なアミニズムを思いました。非ヨーロッパ、非アメリカの日本とコロンビアの共通性というか、そんなこともぼんやり考えたり。
結論、やっぱ蜷川さんは凄い。
先日の「お気に召すまま」からこの「エレンディラ」をも仕上げる蜷川さんにやっぱり脱帽です。演出家として脚本家としてたくさんの刺激をもらいました。
帰りながら、満島ひかりちゃんと蜷川さんを「いつか超えよう!!」と話したり(笑)。
とりあえず、満島ひかりちゃんとは8月末の「農業少女」がんばるぞい。
公式ブログも開設されたんで、みんなのぞきに来てくらはい。
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