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2007/07/26

野田地図「THE BEE 」英国バージョン

TheBeeの英国バージョンを見に行った。
先日日本バージョンを一緒に見に行った金子監督、鈴木和道さんと一緒だ。岡村麻純嬢は、仕事の都合で残念ながら合流が無理になった。代わりに女優X嬢を連れて行った。というのも席を北村明子さんに既にとってもらっていたからだ。せっかくの座席を無駄にするわけにはいかない。(ちなみに北村明子さん、むかし女優だったとは聞いていたものの、美人だねえ。ぼくのイメージする敏腕プロデューサのイメージとはぜんぜん違う。)

現地集合したのだけども、金子さん、鈴木さん、野田さんと小学校の同窓生であるMさんも一緒だった。Mさんも美女で、なんと幼い日、野田さん、金子さんのマドンナだった人。小学生のとき、金子さんとMさんが仲良く話していると野田さんが「金子、Mのことが好きなんじゃねぇの!」と冷やかしたそうだが(笑)そんな小学生らしい話を聞くと、巨匠たちがたちまち可愛く見えるから笑える。ほほえましい。

そんな素敵なメンバーで、重いTheBeeを観劇。

日本バージョンを見ているだけに、字幕は必要が無かった。
いや「日本バージョンを見ているだけに」というよりも
かなり「動き」に言葉が内包されているため字幕が必要なかった。
(野田さんの芝居はいつもそうだが)
動きだけ、表情だけで、意味が通じると言うか。
とりあえず、字幕なんかを見るよりも、演技を見るほうに集中した。

英国の役者たちの表現力のすばらしさを感じた。
というよりも元来ごっちゃり他民族とのバトルを前提とするヨーロッパでの誤解無き意思伝達を目指す表現型が説明的というかオーバーアクション、オーバーリアクションだからなのだろうが、動きがいちいち説明的というか、先の、僕が英語がわからないと言うことを含めて、英語でしゃべる人と日本語でしゃべる人、僕らの間に厳然とあるはずの壁を無理やりにも乗り越えて、こちらに意味を伝えようとするその姿勢・・・演技と言う姿勢が特徴的だった。

これはぶっちゃけレイプだ。

僕が・・・すなわち日本的な文化受容体が、独自の世界を言語的な差異で守ろうと言うのに、英国の役者たちは、その豊かな表現で、むりやりに僕らに意味を、物語を、肉体を、その体臭を伝えてくる。

それは客観視され、他人にどのように自分が映るかを知り尽くした計算高い表現だということで、それはそのまま演技を、「私小説的なもの」と真逆にある「批評的なもの」へと昇華する。男が女を演じ、女が男を演じると言うのも、批評的である。(それでは歌舞伎や宝塚が批評的なのかということは、ここでは置いておくとして)

日本版がリアル・・・私小説的・・・女が女を、男が男を演じ・・・肉体的表現が抑制されている・・・抑制されても意味を汲み取れる・・・その分、映像的な処理や理解できる日本語でたすけられてもいるから・・・僕らは日本人だから・・・ということと比較して、英国版は戯画化され、構造化され、客観化され、男女の表現は入れ替わり誇張され無理やり意味を観客の口に押し込める・・・レイプする。それは黒船だ。

しかし、日本人は・・・というか僕は、その客観化された物語を拒絶する。僕は日本人が好きだ。私小説が好きだ。客観性の無いblogの恥ずかしい日記が好きだ。という、なんとも肉体的なところに観客がもどっていかざるをえないというか、はっきり言って、僕は日本バージョンのほうが好きだし心に刺さる。というのは、単純に、世界的な事件で、英国人が死ぬより、日本人が死んだほうが、悲しいと言う、肉体的な親近感に通じる話だろうが、日本人は日本人だから・・・だから日本人なのだ。

そんなことをぼんやりと感じた。

男女を入れ替えたほうが生々しかったなどの発言もときどき見受けられるが、どうやったらそう思えるのかわからない。その発言にダウトである。確実に生々しさとは逆の「意味に」「客観性に」「構造に」なっているのだから。一歩引いて吟味してみることのできる芝居、それが英国バージョンだ。

ちなみに英国バージョンを否定しているんじゃない。
別物だということが言いたいだけだ。

批評的なTheBeeが好きな人もいれば、私小説的なTheBeeが好きな人もいるだろう。ただそれだけで、そして僕は私小説的なTheBeeが好きで、それは日本人が私小説的であること、客観性の無いお恥ずかしい日記をblogで晒していること、なによりも僕が日本人であるということ、そんなこととかなり深い関係にあるということだ。それがわかっただけでも、今回の観劇は収穫である。

観劇後、また例のごとく楽屋に。

野田さん、さすがにお疲れの様子。
しかも昨日から風邪を引いているらしい。
声が少しかれていた。

劇中、女性を演じるのだが、格好がスカートでかなりセクシーで生足を出している。ちゃんと脱毛もされていて、女の足なのだが、野田さんは「女性は大変だってことがわかるよ、かなり寒いからね」と言っていた。で、風邪を引いたらしい。劇中、すこし空調が暑いなあと思ったのだが、それは野田さんからのお願いでそうなっているらしい。つまり野田さんは芝居中かなり寒いらしい。

野田さんに、美術のことについて質問してみた。
「日本バージョンは紙という素材をつかっており、英国バージョンはハーフミラーやタイルという硬質な石という素材をつかっていますが、これは日本とイギリスの文化的対比となんらかの関係がありますか?」
野田さんいわく
「ぜんぜんそんなこと考えてないよ。英国バージョンはだいぶ前に考えたものだし、そのときに日本版をやるなんて考えてもいなかったら」
といような答え。
「しかし」
と僕は思う。
野田さんが意識的に考えていなくても
日本版の美術が石ではなく紙であることには重要な意味があると思う。

楽屋通路で話していると、途中からハンターさんがおしゃべりに加わった!!
あせる。だって英語なんだもん。
と年甲斐も無く甘え口調で言いたくなるほど困った。

各人紹介されたが、僕は英語しゃべりたくないので紹介しないでくれオーラを出していたら、スルーされたのだが、それに野田さんが気付いて「彼だけ紹介されてないね」というと「ヒーイズスクリーンプレイゥライター」だというように金子さんが紹介してくれて、すると、野田さんが「彼芝居もやってるんだよね」と言うと、ハンターさんに英語で、「彼は才能ある演劇の劇作家演出家でもあるんだ」と説明。ひー滅相も無いと恐縮。すると野田さんはぼくたちに向き直ると日本語で「いや、じっさい見たことないからわかんないけどさ、適当に言っといた」と笑う。しかし、まずい英語会話の矛先が・・・英語で発言しなくてはいけない矛先がぼくに・・・と思ったけど、なくて少しほっとする。

同行したX嬢についても、何の紹介も無かったんけど、
ハンターさんが「あなたはアクトレスね」と見抜いていたのがすごいなあと。
説明しなくても女優だってわかるんだ。
確かにX嬢はすでに立ち姿からオーラを出している。

面白かったのは、金子さんに対する野田さんのまなざし。
ほんとうに楽しそうに見ているんだよね。
で、去り際、野田さんは金子さんに
「人間て、変わんないよなあ(笑)
 小学生のときのまんまだね」
と笑っていた。
そう、とくに金子さんはそうかもしれない。
稀有な人なのだ。
無邪気な子供のまま大人になっている。
映画や特撮や歌謡曲やアイドルなんかに対する興味も
子供のまんまでもち続けている人なのだ。
その純粋さがかなり微笑ましいものであることも
客観視できていない・・・それが子供性なのだが。
それはかなり映画監督としてはイケテル才能だと思う。
客観視などプロデューサーに任せればよい。
金子さんは金子さんの独自の世界を爆走してください。

去り際、僕から野田さんにX嬢を紹介した。
「彼女も、こんど八月末にやらせていただく農業少女に出演する予定です」
と言ったら、野田さんが、
「あれ?こないだの子は?(岡村麻純嬢のこと)」
というので、
「ええ、こないだの子とダブルキャストになる予定です」
と答えると
「へえ、いつやるんだっけ?」
と野田さん。
「あ、はい8月28日から9月2日までです」
というと
「案内してね、携帯番号おしえるからさ」
と野田さんメモ帳に携帯番号を書いてぼくに渡す。

!!!!!!!!

まじでSKY?

見に来るってことですか?

おおおお、来るってことなんですよね、都罪さん?
まだこない、まだこない・・・。(by農業少女)

ええええ、まじすか?
野田さん来るってことじゃないですか!!!

って金子さんに言うと、
「普通は君らのような無名の劇団の芝居に野田は行かないと思うけど、まあ僕の可愛がってる子たちの芝居だしねえ、見に来てくれるんじゃない?」
と言う返事。

どおおおおおおおおお。
どうしよう。
やっぱり野田さんに見せるからには、野田さんの農業少女を超えなくては・・・そもそもそれは可能なのか?いや、野田さんが来ないとしてもやるつもりでしたよ・・・いや、やったかなあ?やったとおもうけど・・・ほんとか?え、はあ・・・意識混乱混濁だくだく汗だくだく・・・

とりあえず、がんばろっと。

ええ、ちなみに
8月のアロッタ番外公演は
8月28日から9月2日まで
渋谷のギャラリー、ル・デコ5Fでやります。
座席は30席ぐらいしかないと思うので
チケットはお早めに獲得しておいてくださいね!
8月6日あたりにチケット販売をする予定です。
詳細はまたここで発表させてもらいます!!!
農業少女とか野木太郎の芝居とかいろいろやりますよ♪
おたのしみに~~~~

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コメント

「The Bee」のロンドン版、私も拝見しました。日本版を先に上演していただいたのは正解かも・・、先にロンドン版を見ていたらけっこう精神的にきついことになっていたかもしれません。それほどインパクトのある舞台でしたね・・・。

野田さんがデフォルメなしの普通の女性を演じていたのにはちょっとびっくり・・・。あのトーンの中にデフォルメした女性のイメージは入り込む余地がなかったのかもしれませんが、女性度のようなものがしっくりなじんで違和感がまったくないことに役者としての彼の才を強く感じたことでした。

農業少女のチケットは8月6日頃発売になるのですね・・・。30席か・・・。競争率高そう・・・。ちょっとこちらのHPへお邪魔する頻度を増やしてとり損ねないようにがんばりたいと思います。

投稿: りいちろ | 2007/07/27 00:48

どうも、りいちろうさん。
コメントありがとうございます。
りいちろうさんは僕と逆でロンドンバージョンのほうが生々しく感じたようですね。
僕はやっぱり演技がバタ臭く感じました。
つまりデフォルメはあったと思います。
野田さんはいつもより抑え目だったですけどねwww
野田さんは女性役おおいですからね、これまでも。「小指の思い出」とかあの辺り、むしろ女装男優と名づけてもいいぐらいですよね。たぶん、彼の得意分野ですよね!
しかし、いつまでもチャレンジャーな野田さんは本当に素敵ですね。

投稿: まつがえ | 2007/07/27 05:18

しかしなんでロンドンバージョンというんでしょうかね?
もしそうなら、東京バージョン?というのが正しいんですかね?
ロンドンというなら東京
日本というなら英国
そう思ってしまうんですが。
ま、どうでもいいですけどね。

投稿: まつがえ | 2007/07/27 05:21

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