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2007/05/29

ナイロン100℃「犬は鎖につなぐべからず」

庭劇団ペニノの野平さんには、
もっと2000円とかのチケット代でやってるクラスの
小劇場演劇をたくさん見たほうがいいとアドバイスをもらっている。

が、時間も無いなか見に行くと
ついつい定番の芝居を見に行くことになってしまう。
蜷川さん、野田さん、松尾さん、ケラさん、白井さんとか。

で、ケラさん。
見に行きましたよ。

青山円形劇場。
舞台と客席が「近っ」
まえもこの劇場に来たことがあるけど
こんなに舞台と客席が近いと感じなかった。

まずもって、
こんな客席と舞台が近い中で
ケラさんの芝居が見られるというのが
かなり客のテンションを上げますよね。
映画に無く舞台にあるものというと
この客席が「中に入っている感」というのが
まず上げられると思うんですよね。
ちなみに、映画館でも
「中に入っている感」が欲しい僕としては
まえめの席で見ますけどね。

で、芝居なんですが
まず脚本が岸田國士なんですよ。
サブタイトルにあるように
岸田國士の書いた一幕劇を七本あつめて
それをケラさん流に再構成、少々の潤色。
井手茂太さんのダンス、豆千代さんの和装。
そういう感じで作られた芝居です。

岸田國士なんていうとほとんどの人が読んだことないわけで
岸田國士戯曲賞のほうの名前でしか知らないというのが
おおかたの観客なんじゃないかと。
かく言うぼくもそんなかんじでした。

ただタイトルの
「犬は鎖につなぐべからず」
というところから
うーん
とうなっていました。
タイトルは岸田さんの戯曲タイトルなんですが
このタイトルからしてすでにケラさんぽい。

まずケラさんには
「すべての犬は天国にいく」
という芝居がありますが
「犬」が入っているということだけではなく
なんとなくタイトルセンスがケラさんぽいわけで。

実際、芝居を見ると
どこが岸田國士で
どこがケラさんなんだか
わからないぐらい溶け込んでいる。
ケラさんが全部書いたと言っても不思議じゃない。
実際、どの程度、潤色が入っているのか知りたいものです。
原作と、上演台本を両方収録している戯曲とか出版しないのかな?
ぜったい買うけどね。

で、この芝居ですが
ケラさんのブログとかいろんなところで
「他愛もないはなし」とか
「何も事件が起こらない」とか
まったりしていて見る側の見る力が試される芝居になる
的な発言が多かったんですが
いや始まって、ところがどっこい
すぐに心臓がドキドキしましたよ。
「すげぇ」
とうなりたくなりました。

そのすごさが、
ケラさんの潤色、演出によるものなのか
岸田國士さんの意図したものなのか・・・
おそらく両方なんだと思うわけで。
たしかに表面的には「他愛もない」のかもしれないけれど
他愛も無いひとことにこめられた微妙な感情の応酬は確実に「劇的」な何かです。
で、それを感じ取るには、微妙な表情やニュアンスが汲み取れるような役者と観客の物理的な距離の近さが必要で、つまり、青山円形劇場じゃなきゃだめだということなわけです。
で、舞台自体を盆廻しするわけですが、これも、固定にすると、ある一方側の微妙な表情しか汲み取れないわけで、それではこの戯曲の面白さが半減する。こっちがこういう台詞を言ったときの相手の表情、その表情に対してこっちがどう反応するかその表情・・・それを見せるには、映画はカットバックの手法が使えますが、舞台はそうはできない。だから盆が回る。回る必要性がある。必要性のある芝居ということです。この芝居、大劇場で、舞台を遠くにして後方から眺める体育館のような普通のプロセニアム・シアターでは面白みを伝えるのが本当に無理なんだと思うわけです。

で、そのときに情報としての台詞、間、ニュアンス、表情、そういうものを的確に輪郭のはっきりしたものとして、ちゃんと発信していた役者たち。

つまり、なんというか、絶品の素材と調理法と、その食べさせ方と、レストランや給仕の雰囲気、そのすべてが芸術的に絡み合ってできあがる広い意味での最高の料理。それを食べさせる。そういうことをやってるわけですよ、芝居として、ケラリーノ・サンドロヴィッチという人は。その姿勢、パクらせてもらいます。

とりあえず、ナイロン100℃「犬は鎖につなぐべからず」は公演残りあと少し。
見に行っとけ。いくべき。感じ取れ。

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