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2007/04/29

松岡錠司監督「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」

昭和天皇の誕生日です。万歳。
というわけで先日みてきました。

松岡錠司監督
『東京タワー  オカンとボクと、時々、オトン』

いや、この映画に否定的な宮台さんのblogみてから、
この映画についてなんて言おうかなんて考えちゃいましたけど
ぶっちゃけ正直、泣きっぱなしだった僕です。

松尾スズキさんが脚本なんだけど
いい意味で、監督が脚本家を裏切っている気がしました。

松尾スズキさんは、いつも思うんだけど、
すごいピュアピュアな人で、
でも激しく照れ屋でもあって、
だから、いろいろ照れ隠しで塗ったくって
ピュアピュアな叫びを塗りつぶしちゃおうとするんだけど
でも、何がいいって、やっぱりピュアピュアな叙情の部分だと思うんだよね。

今度の松尾さんの新作も
「ドブの輝き」
なんてやけっぱちなタイトルだけど
ここで
「輝き」
というところが松尾さんのピュアピュアな部分をあらわしていて
「ドブの」
というところが照れている部分で・・・

つまり、松尾スズキという作家は
一貫して叙情的でくさいほどピュアピュアだということ。
もちろん作家性は「いいたいこと」なんかではなく「文体」にあるとよく言われるように、松尾さんを松尾さんたらしめているのは、「照れ」の部分なんだろうけど、でも、やっぱり僕には、「ピュアピュア」+「照れ屋さん」が松尾さんなんだと思う。だから、「ドブの輝き」ってタイトルを見て、ありゃりゃまんまじゃん、と思ったわけです。

で、松岡錠司って監督は
この松尾さんの「ピュアピュアな部分」を、「照れ」をはずしていって(松尾さんの戦略は無視して)どかんと表現しているわけです。

思うに
「照れ」な部分というのは、より「演劇的」な部分で
というのも、「映画」と違って「演劇」は客前で演じるから
より「照れ」てしまう。
だから、演劇の脚本は、映像の脚本よりも激しく本音をテレで覆い隠している。
隠さないとバランスがとれない・・・
んじゃないかと思うわけです。
クドカンのシナリオなんかも良い例だよね。
ふざけすぎ・・・と言われるほど照れ隠しが激しい。

で、松尾さんの初稿を買ったわけですよ。
「東京タワー」のシナリオね。
映画用にカットする前の4時間半あるやつ。
これね、なんで4時間以上もあるかというと
やっぱり、あんまりにも東京タワーの本質が
臭すぎるし恥ずかしすぎるし・・・
て、とこなんだと思う。
もうファーストシーンから映画ではカットされている笑いがふんだんに描かれている。
すべては「ピュアピュア」を隠すための「照れ」。
しかし「照れ」っつうのは映画では演劇ほど必要じゃない。

つまり

松岡さんは、松尾さんの書いた「照れ」(演劇的自意識)をどんどんそぎ落とし
むしろ、松尾さんのピュアピュアな部分を誇張して演出している。
シナリオではさらりと書かれているところを
間を取って、感動的な音楽を流して追い討ちをかけ・・・
だからもう涙腺の弱い僕は号泣ですよ。
松尾さんが元来持っている映画的なピュアピュアを
松岡さんが見抜いて誇張した・・・。

だから、ぶっちゃけ良い映画になったのだと思います。

オダギリジョーさんや松たか子さんだから当たっているというのじゃない。
いい話だし、演出がべたなんだけどベタ過ぎず、だからヒットしているし良い映画なんだと、宮台さんの意見はふうむと思うけど、でもやっぱ良い映画だなと思う。
でも、これを演劇にするときはやっぱりもう少し「照れ」が必要とは思うけど。
(実際舞台化されるらしいけどどうなるのかな)

あと見ていてうれしかったのは
小劇場系の役者さんたちがたくさん出ていたこと。
安藤玉恵さんとか江本純子さんとか吉本菜穂子さんとか。
そんなんで嬉しくなるのはやっぱ僕も小劇場系だからなのかな。

それからラストシーンで
オダギリジョーさんと松たか子さんが東京タワーに上るんだけど
エレベーターガール、うちの安川結花ですから(笑)
横顔となんか「**階でございます」的な台詞を言っているからすぐわかります。
結花ファンは確認してみてください。
ちなみにそのシーンには、うちの藤澤よしはると、最近、秦建日子さんところに寝返った斉藤新平が映ってるらしいが、確認には至らず。

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン@映画生活

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