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2007/03/25

僕らの義務

うちの安川結花がニナガワスタジオのオーディションに合格しました。
うれしくもあり寂しくもあるマツガエです。

僕が安川結花という才能をどれほど買っているか、それはこのblogの過去記事や、僕の芝居での彼女の使い方や、僕の普段の言動を見ていると分かることだと思います。

ただ、彼女は原石であって、磨く必要がある天才。
僕も彼女の教育役としていろいろやろうとしてますが、如何せん、僕は役者を教育する事を仕事としてやってはいません。
なので彼女をはじめとするうちの役者たちに僕ができることというのは、出会いの場を設けてやることです。
満島ひかりちゃんや俊藤くん、渡来くんと組ませたのもそうだし、今回、芝居のうまいオスカーのこたちと組ませたのもそう。金子監督という目に見てもらうというのもそう。僕が関係した映画の現場に入ってもらうというのもそう。

しかし、それだけでは足りない。
僕がそう思ったとき、思いついたのは安川結花にニナガワスタジオのオーディションを受けるようにアドバイスすることでした。
僕がたとえば役者を志望しているとし、この日本で今後も舞台役者でやっていこうとしたら、どうするか?それは決まっています。
蜷川幸雄さんや、野田秀樹さん、ケラさん、松尾さんのところに行くことです。

なかでも蜷川さんはもっともふさわしい人です。
僕は蜷川さんの凄さに完全に舌を巻きます。
蜷川さんはひとり日本の文化の低落を防波堤になり防いでいる人です。
藤原くんや二宮くん、松本潤くんらを育て、また彼らを起用することによって、シェークスピアやチェーホフの演劇を日本の若者たちが受け入れるようになる。
凄いことだと思いませんか?
蜷川さんがジャニーズのタレントやアイドルたちを使って、シェークスピアをやることで、しかもかなり芸術的にクオリティーの高いものを作ることで、日本のゆとり教育で脳が軟化していくといわれている少年少女たちが、逆に世界的な水準においても高い教養を得ている。そんなことを為している人間は蜷川幸雄以外にいません。世界のコンダクター小沢征爾もノーベル文学賞大江健三郎もどんな世界的な映画監督も、日本の文化の低落を止めることを蜷川幸雄以上に為すものはいません。

もしこれからの日本の若者達が世界に伍する教養を持っているとすれば、それは文部省や誰かのおかげなんかじゃなくて、蜷川幸雄のおかげなんだと、僕はそう言いきれると思います。
蜷川幸雄がいなくては日本は腐っている。
僕はそう思います。

その蜷川さんの下で芝居ができる。
訓練を受けることができる。

世界と戦う女優安川結花を作るうえで、これほどふさわしい場所は無いでしょう。
残念なことは、僕が直接彼女に教えてやれることは蜷川幸雄が彼女に与えてやれるものよりも小さいということです。
しかし蜷川さんなら安川結花の天才を確実に伸ばしてくれるはず。

彼女の天才について、認めていない人が多くいるのも知っています。
が、これはもう本当に誰がなんと言おうと、安川結花が天才であるのは確実なのです。
だからニナガワスタジオのオーディションも僕は確実に受かると思っていました。
蜷川さんが彼女の天才を見出さないはずは無いからです。

ひとつ心配があったのは、オーディションの審査に蜷川さん本人が来てくれるかどうかでした。が、やはり世界の蜷川。日本を教育する蜷川です。100数十人のオーディション参加者の審査を全部自分でやったようです。

最近僕の持論なのですが、「大人物はどんな些細なことにも手を抜かない」。
これは金子監督や那須監督のそばにいて僕が掴んだことです。

そして蜷川幸雄も手を抜かない。
オーディション参加者全員に目を配る。

100数十人から11名が選ばれたそうです。
そのなかに安川結花も入っていました。

舞台「1999.9年の夏休み」の稽古最中
僕の携帯にメールが入りました。
安川の所属事務所の担当マネージャーからです。
ニナガワスタジオオーディションの合格が知らされました。

ここからです。
ここは単なる始まりの地。

安川結花は、蜷川さんのもとで鍛えられ、ますますその天才を磨くことになるでしょう。
僕はそれが楽しみでならない。
そして僕も安川に負けないように世界と戦う気です。
蜷川さんはいつの日かいなくなる。
いなくなった後でも日本を支え続けられる。
そういう人間にならなくてはなりません。
蜷川幸雄の後塵を拝す僕や安川結花にはその義務があります。
時間はそんなに無い。
今回の舞台「1999.9年の夏休み」
蜷川幸雄に代わって日本文化を支える。
その心意気が見せられる舞台になればいいと思います。
蜷川幸雄のいなくなった後の日本を支えられる人間となりたい。
その片鱗が見られる舞台とする。
それが僕らの義務なのです。

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