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2006/11/10

「偽伝、樋口一葉」交流会~久々の那須組

先日「偽伝、樋口一葉」の稽古がうちのそばであった。
帰り、数人と夕食をとりながら交流会を開こうということになった。
場所は僕の家。
いつもならしている鍋の用意もなんにもしていなかった。
あわててコンビニでいろいろ買い込み飲み会。
メイキングの新生璃人さんが先日誕生日を迎えていたので
機転を利かせた安川祐香がケーキを買ってくる。

ちなみに交流会。
今回、主演の満島ひかりちゃんをはじめ
「アロッタ」に参加するのが初めての人が多く
また、役者20人と大所帯なので、ほっておくと
なんの交流も無く本番に突入しかねない。
映画などは、もうちょっとドライで
プライベートな付き合いはむしろ無いほうがよく
現場の瞬発力が重要だったりする場合もあるのだが
芝居は経験的に言って、団体的な結束が重要であったりする。
つまり、今回はなるべく僕のほうからも
みんなと交流を持ちたい。
良い作品を作るためには、
アイディアや不満いろいろと吸い上げる必要があるしね
というのが僕の運営スタンスだからだ。

交流会だから、別にまじめに芝居の話をするだけではなく
馬鹿話を含めてして、「ああ、こいつこんなこと考えてんだな」とか
お互い思うようになってくれればいいという風な感じで飲む。

いろいろメンバーがいるが
今回、僕の勝手な思い入れでメンバーに加わってもらった人が何人かいる。
とくに俊藤光利くんについては彼のデビュー作品が
那須博之監督「新・湘南爆走族 荒くれKNIGHT3」
というのが僕にとっては胸キュンだ(笑)。
彼のお父さんの六本木にあるお店も那須監督の行きつけで
僕は那須さんに連れられてしょっちゅう行ってたし
俊藤くん自身が働いているときにも一回ぐらい行ったことがあるような気がする。
那須さんが亡くなった時も、僕はすぐに俊藤くんのお店に電話をして訃報を伝えた。
東映「デビルマン」にも俊藤くんは出演している。
那須さんも、押尾学と俊藤光利の二人については
思い入れがありよく楽しそうに思い出を話していた。

で、その日の練習後の交流会も、
そもそもは僕が俊藤くんと那須さんの話をしたかった
というのもあって開かれたのであった。

当然みんなで俊藤くんのデビュー作
「新・湘南爆走族 荒くれKNIGHT3」
をみる。
本人は照れていやがっていたが皆で笑いながら見た。
俊藤くんは総長の木原役をやっているのだが
木原が単身敵地に乗り込み返り討ちに会いぼこぼこにされるシーンでは
なかば俊藤くん(23歳!)は本気で殴られていたと言うことを笑いながら教えてくれた。

那須さんはなんでも「本気」が好きで中途半端な嘘は大きらいだから
たとえば日活時代の名作「美少女プロレス」にしても
山本奈津子さんら女優達に本気でプロレスを習わせたりする。
「代打教師。秋葉真剣です」のラストのラグビーシーンでもそうだけど、那須さんの作品を見るものは、ストーリーとは別に、ただひたすら何事かに真剣に「本気」で取り組む人間と言うのもに感動できる。見るものは、那須さんの映画には、「本気」で生きる人に対する優しく熱いまなざしが満ちているのを知るだろう。
「本気」それが那須博之の作品と人生のキーワードのひとつであるのは間違いが無い。

で、「新・湘南爆走族 荒くれKNIGHT3」だが、「本気」につくるべく、那須さんは本当の暴走族たちを東映は撮影所に招いた。で、族の方々は「本気」なものだから、本気で東映撮影所の敷地内で暴走族を演じ、その騒音たるやすごくて周囲から苦情が入って謝ることになったというようなこともあり、まあ、那須さんはそれを笑いながら楽しそうに話すんだけど、俊藤くんから聞く那須さんの姿もまさにそれで、那須組名物のオーディションマラソンなんかの話は俊藤くんの達者な那須監督の物まねもあってほんとに笑えた。あとやっぱりテストの多さに辟易して、ようやく本番だろうと思ったところ、那須さんが「じゃ、次、本テス行こうか」とあのダミ声で言ったという様な話は那須さんを知っていればもう大爆笑である。

お酒も回って那須さんの話もして気分が良くなった僕らはそのまま深夜に近所の焼肉屋にいったりして朝まで語り合ったのだけど、乗りに乗った俊藤くんが笑いながら「じゃ、うちらの芝居にしのぶ呼びますか?」と言ったときには「え?誰?しのぶって」となったが、そう俊藤くん寺島しのぶさんのイトコなのだ。忘れていたが僕が尊敬してやまない名プロデューサー俊藤浩二さんのお孫さんなのだ。ていうかおばさんが富司純子さんだし、いや、忘れてたけど、あなたサラブレッドなのね・・・。しかも、寺島さん、よく考えれば(よく考えなくても)「書く女」で一葉を演じてる・・・。聞くと俊藤くんは見に行きたかったけど「書く女」を見に行かなかったらしい。俊藤くんは僕らの芝居「偽伝、樋口一葉」では一葉の師匠であり恋人?の半井桃水を演じるのだが、「書く女」を見に行ったら、筒井道隆さんの半井桃水像が刷り込まれてしまう。純粋に自分の桃水像を作りたかった俊藤くんいわく「寺島しのぶの一葉は見たかったけど、筒井さんの桃水をみてしまわないように「書く女」は見に行くのをやめました」と。なるほど。

焼肉屋を出て、またいったん僕んちに戻る。
で、僕が出したのが「デビルマン」のロケハンのビデオ。
東映制作部の木次谷さんが那須さんと二人で廃墟めぐりなどしていたときに撮ったビデオである。
皆が眠いのはわかっていたのだけども、どうしても僕の大好きな那須さんを見せたくて半ば強引に見せてしまった。
那須さんを知っている俊藤くんが、「那須さんだぁ!」と大笑い。
画面向こうの那須さんが色々話しているが
これはいわゆる那須語で、なかなか素人には分かるものじゃない。
しかし、那須さんの「本気」は伝わるんじゃないかな。画面の中の那須さんは小さなビデオカメラを片手に廃墟の中を歩く。那須さんが空を撮る。廃墟の壁を撮る。階段を撮る。木々の間に潜む何かを追いかける。そのまなざし。少しも楽をしたり、こなしたり、中途半端だったり、なめたりしない「本気」のまなざし。久しぶりに見て僕は、ああ、やっぱり僕はこの人が大好きなんだという気持ちで一杯になった。血のつながらない息子の僕としては彼の「本気」これを受け継いで行きたい。だから今は「偽伝、樋口一葉」に本気でぶつかっていきたい。きっと那須さんは今の僕らのこともどっかから「本気」で鼻息荒く見ているだろうから。役者のみんなにも「本気」でぶつかってもらいたい。きっとその「本気」は観客に伝わるだろうから。「本気」それが僕らのテーマだ。

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コメント

本日も那須監督への愛溢れるお話。本気で感動させて貰っています。 泣かせてくれます松枝さん。

その内、那須監督の秘話尽くしの本かフィルムか何か形にしてみる話はあるのでしょうか?『秘伝那須博之』とかなんとか。見てみたいものです。

『復讐の連鎖』を断ち切るのは『忘却』より寧ろ様々な角度からの『深い考察』とそれによって起こる『気付き』(所謂、『悟り』ですか)による復讐の対象物への『執着心』を無くす事からではないでしょうか。

舞台の方、日程が合えば窺わせて貰いたいと思います。『志は高く』です。

投稿: sivananda | 2006/11/10 21:38

sivanandaさま
『秘伝那須博之』いいですね。
実はなんかしようと思っていますw
そのときはまたお知らせしますね。

『志は高く』了解です!

投稿: まつがえ | 2006/11/12 09:20

>「本気」は観客に伝わるだろうから。「本気」それが僕らのテーマだ。

「本気」は、きっと伝わります...しかし、1ppmでも、「本気でない」ものがあれば、そちらの方が確実に観客には伝わってしまう...。
舞台(いや、すべての「表現」ってものがそうなんでしょう...)って怖いですよね...でも、その危うさがあの空間をつくりだす力になるんでしょうか...。

あと1ヶ月...どんなものになるんでしょうか...、早くこいこい、12/6(^^)

投稿: 猫ぴ@もか組 | 2006/11/13 21:54

猫さんどうも。
昨日も葵さんがんばってましたよ。
今回はいろいろあって
みんな死ぬほど本気じゃなくちゃヤバイ。
おのずと本気にならなくちゃ展開です。
稽古場は笑いはあるけど不真面目ゼロです。
期待していてください。

投稿: まつがえ | 2006/11/14 07:56

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