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2005/12/31

今年の終わりに(5)

那須さんがいなくなり…
すべてが色あせ
せっかく
病室で書き上げた
『神の左手悪魔の右手』のシナリオも行き場が無く。
そんなときに楳図先生が声をかけてくれました。
「この映画化は、
那須監督のためにも、ぜひ松枝さんの手でなしてください」
思い切って僕は金子修介監督に電話しました。
会ってお話がしたい。
新宿の……なぜか過剰にムーディーな居酒屋であった気がします。

那須さんへの思いは金子さんも、ものすごく深い。
ぜひ那須さんがなそうとした仕事を金子さんの手で。
そう思ってお願いしました。
一も二も無く承諾していただけました。

残された者が映画を撮らねばならないのです。
きっと今頃
那須さんは天国で年10本の勢いで映画を撮っているんじゃないかな。
地獄にロケハンしにいってたりして。
天国よりこっちのほうが面白そうだな。
とか行って地獄でロケしてそうです。

皆さん、今年はありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。

というか見ておいて下さいよ。

金子修介監督作品『希望の党☆

それでは良いお年を!!

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2005/12/30

今年の終わりに(4)

ほんとうにあんな暗い気持ちは初めてだった。
那須さんは不思議な人で
もちろん一緒に映画を作りたい
そうは思うのだけども
なんだか
映画を作りたいから一緒にいるのか
一緒にいたいから映画を作るのか
ただ一緒にいたいだけじゃないのか
ひたすら一緒に遊んでいたいだけじゃないのか
それが判らなくなりそうな
そういう魅力的な人でした。
真知子さんや僕だけじゃなく
那須さんと関わった多くの人が
那須さんと言う存在が身近にいることで
人生、5割増しかそれ以上に楽しくなっていたのじゃないか。
つまり、那須さんが死んだら
自分の人生5割減。
それを思うとどんより暗い。
那須さんが死んだことで
比喩ではなく本当に自分の人生の5割が死ぬのだから
それは暗くなろうと言うものである。
仕方の無い話。まじで。

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今年の終わりに(3)

今でも、僕のノートには
病床の那須さんが太いマジックで書いた
『神の左手悪魔の右手』のシナリオ直しの方針が残っています。

直しがあがると那須さんの病室に出かける。
なんだか普通に見舞いに行くのも行けなくなって
正直ちょっと辛かった。
まだ出来てないのか。
そう言われるわけだし
ほんとうに僕にとっての那須さんは
最後まで映画の師匠でした。

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今年の終わりに(2)

芝居の初日があける日
僕は劇団員にはもうしわけなかったけど
那須さん、真知子さんにくっついて病院に行きました。

診察が終わって
那須さん、真知子さん、僕は寿司を食いに行きました。
もうしばらく食べられないかもしれないからな。
笑って、那須さんは最後のビールを飲みました。
真知子さんはニコニコしていましたが
この時には医者に告げられもう知っていたのです。
あと一ヶ月しか持たないかもしれない。
そう聞きながら悟られぬようにしていたのです。
タバコ吸ってくる。
と言って真知子さんは店を出ました。
戻ってくるのが遅く那須さんが探しに行きました。
真知子さんは泣いていたようです。

一週間が経ち
ベッドが空いたとこのとでようやく入院となりました。
那須さんから僕の携帯に電話がありました。
留守電になりました。
その声は消さずに取ってあります。
だから留守電を聞けばいまでも元気な那須さんの声を聞くことが出来ます。

病院前で待ち合わせ
たった一週間あわなかっただけで
那須さんは、見る影もなくやせ細っていました。
病院から言われた食事制限をすべてキッチリ守ったそうです。
入院の手続きのときに、僕は「息子」と書かせてもらいました。
ほんとうに僕と那須さんのキズナは親子に近かったのです。

映画を沢山撮る。
入院しても那須さんの気持ちは変わりませんでした。
スタッフルームが病室になっただけ
そう言う感じで、病室の那須さんと映画の話をしました。
5月には楳図さん原作の『神の左手悪魔の右手』を撮る。
そのための準備を急がなきゃな。
まずは台本。
初稿を書き上げた僕は那須さんの病室で
作者本読みをしました。
目を閉じて聞いている那須さん、そして真知子さん。
三人だけの本読み。
看護婦が途中で入ってきて驚いたりされながら。

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2005/12/29

今年の終わりに(1)

僕の師であり、もはや父ですらあった
那須博之監督から電話があったのは年明けてすぐのこと。
吉祥寺の喫茶店で会いました。
ガンかもしれない。
そう告げられたとき、
はじめは冗談かと思いました。
前年末まで、元気に映画を撮っていたのです。
ナベカツは現場を知る必要がある。
そう言って那須監督は、僕をサード助監督に指名したのです。
ありえない低予算、限られた時間、那須監督はほぼ寝ないで映画を撮りました。
大変だったけど、
やっぱ現場はおもしれぇな
那須さんはそういって笑っていました。
そして2005年。
一緒に「那須フィルムズ」という会社をつくり
沢山たくさん映画を作りましょう。
そう話していました。
年10本は映画を撮るぞ。
え、幾らなんでもそんな無理なんじゃないですか?
そんぐらいの気合でやんなきゃ会社はだめなんだ。
そう話していました。
年末にはオフィスを構えるために不動産屋めぐりをして
赤坂TBSのそばにビルの1フロアを借りることまで決めていました。
年明けてすぐに「那須フィルムズ」会社の登記をするばかり。
だから年明けすぐの那須さんからの電話はそのことかなと思ったものです。

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2005/12/28

良い芝居をみると・・・

良い芝居を見ると、こっちもムズムズ・・・
なんだか久しぶりに演劇やりたいなって感じになりますね。

昨日、観て来ました。

まったく期待せずに。

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 『 青春四谷怪談 』
 作・演出 石川均
  2005.12.27-30
  アイピット目白
http://www.alotf.com/yotsuya/index.html
--------------------

石川均監督から芝居の構想を聞いたのはたしか夏前だったか。

しばらく放っておいたら、
公演前一ヵ月半の時点で何も手をうっていない。
チラシも無ければ台本も無い。
どうしたらいいかと石川監督からの相談。

石川均監督にはお世話になっている。

監督の作品『 集団殺人クラブ  最後の殺戮 』には
うちの劇団員が多数、しかも結構いい役で出演させていただいた。

ここで恩返し。

とは言うものの、僕が制作で付くわけには行かない。
ちょうど同時期に、僕脚本のTVドラマの撮影があり
それには僕が演技事務として現場につくことになっていたからだ。

そこで、わが劇団のプロデューサー中山美智子を送り込んだ。

いろいろと伝え聞くには
昨日初日が開くまでに本当に沢山の困難があった模様。

しかし、とにもかくにも幕は開いた。


・・・・・・・ 。


台本も3日前にあがりグダグダか・・・と思いきや。

予想外に素晴らしい舞台だった。
いやかなり素晴らしく。
観劇後の後味は
本谷有希子さんの芝居を見たときのような。
結構、まともな・・・端正な作品作るんですよね本谷さん。

もちろん、照明を中心にいくつかの問題点はある。
しかし、深刻なものではない。
明日から改善可能なことである。

それよりもなによりも
沢山の問題点を超えて
実に興味深い舞台となっていた。

ひとえに台本のうまさがある。

寄り添う若者の耳に聞こえた神田川のせせらぎが、次第に、殺したお岩を流す濁流に変わっていく。四谷怪談を翻案する腕さばき。実に感心する。

役者の使い方もステキだ。
大石綾子、前田華織、青木奈々、羽村さん・・・そしてはじめて見る役者役者役者。

身内の芝居だが、
贔屓ではなく、良い芝居だと思う。

そして何よりも石川さんらしかった。
人間が出るよね。作品には。

お時間あれば、ぶらっと観にいっていただきたい。

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2005/12/26

角川春樹

角川春樹氏のことは変に好きなわけです。
それは中学校のころからのことです。

もちろん薬師丸ひろ子とか角川3人娘がスキだと言うのもあるけれど、なんか発言がね、でかくて日本的じゃない感じが好きだなぁと。いや、大言壮言する輩は、ちまたに多くいるけど、春樹さんは本物な感じがするんだよね。

で、春樹さんビイキから、
一時期、買う文庫本はぜったい
「 角川文庫 」
というような時期もありました。

春樹さんが宗教的なことにはまりはじめて・・・同時期に、彼は薬をやりはじめるわけだけど・・・大峰山とかに行ったり、原始密教的なことをやり始めたときに、僕も密教的なことや仏教的なことに関心をもった。頭そって京都の禅寺に修行しに行ったり吉野山に山篭りに行ったのが高校一年のとき。

中学校から平井和正氏の『ウルフガイ』シリーズや『幻魔大戦』シリーズが愛読書で、三峰山に山篭りしにいったのが高校二年生のとき。

『帝都物語』では救世主として角川春樹が登場人物として出てきたり、笑えるけど、でもなんだか少し信憑性があったり。

日本銀行に就職した後も角川には変な思い入れがあって、従来、日銀は角川書店になぞヒアリングにあんまり行かないのに、僕は無理やり局長を連れて角川歴彦社長に会いに行ったりした。

日銀内で角川書店に関するレポートが残っているのは僕の書いたレポートなのである。『対外厳秘』で外部のものは見ることが出来ないが。出版、IT、メディアミックス・・・時代の先端を行く企業として注目すべきというのが公式的な意図であったけど、僕的には、角川書店にどうしても行ってみたかったと言うのが動機として実は大きい。

もちろん、そのときには、春樹さんは刑務所でいなかったわけだが。

で、その僕が変に慕っている角川春樹氏が映画を作った。ひさしぶりに。

『男たちの大和/YAMATO』

いや、もう最高です。
やっぱり角川春樹は本物だった。
そう思わざるを得ません。
誰がこんな感動と本気を伝える映画を作ったか。
いろんなところ、過剰なほどに徹底している。
ぼくが待ち望んでいたものです。

『天と地』
なんかのカナダロケもそうだけど
圧倒的な絵を作るよね。
せせこましさがない。

『男たちの大和/YAMATO』

ぜひ見てください。
これが『映画』です。
日本映画界に角川春樹氏が帰ってきたことを心から喜びたいと思います。

男たちの大和/YAMATO@映画生活

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2005/12/21

秘蔵写真・・・

みなさん、『 希望の党☆ 』みていただけました?

その撮影現場に遊びに行ったときに撮った写真を

秘蔵

にアップしてみました。
(このblog画面右上からもいけます)

見てみてください♪

では~~~

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2005/12/20

見るしかないシネマ

来年こそは来年こそはと思う師走、
皆様、いかがお過ごしでしょうか?
僕は今日『贋作罪と罰』みにいきます。

ぼくが脚本を担当したネットシネマが昨日公開になりました。
よかったら見に行ってやってください。
http://www.y-choice.jp/

この中の
金子修介監督作品
『希望の党☆』
http://www.iiv.ne.jp/choice/m04kaneko.html
がそうです。

総務省と財団法人明るい選挙推進委員会の出資による
政府広報ドラマの実験的な試みです。

金子監督をはじめ
河瀬直美監督、飯田譲二監督ら
5人の映画監督がそれぞれ
「選挙に行こう」
をテーマにショートムービーを撮りました。
いずれの監督作品も
単なる政府広報にとどまらないものとなっています。

『希望の党☆』出演者として
デビルマンの『渋谷飛鳥』ちゃん
セーラー服百合族の『山本奈津子』さん、
そして日本の誇る大漫画家『楳図かずお』先生
の三人が
僕の劇場用映画デビュー作となる
『神の左手悪魔の右手』
http://www.kaminohidarite.com/
(原作:楳図かずお、監督:金子修介、脚本:松枝佳紀)
の公開に先立ち、その姿を披露してくれています。
またアロッタファジャイナ劇団員からは
藤澤よしはる、新津勇樹、畠山佳子、野木太郎も出演しています。
HP作成で中山美智子も参加してくれています。

もし見ることがあれば
後学のためにも
ご感想、アドバイス等いただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

ではまたの機会に飲みにでも行きましょう。

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2005/12/17

『神の左手悪魔の右手』初号試写

神の左手悪魔の右手』初号試写の朝。

行くかどうか悩みましたよ。
だって今は撮影中。
某民放局TVドラマ。
短編とは言え、僕脚本の初TVドラマです。
どっちも僕の子供みたいなもんです。
神の左手・・・』も僕の初脚本の劇場用映画だし。

厄介なことに
TVドラマは現場にもAPとして参加しており、
主として演技事務などやっておったわけですが・・・。

初号試写には行きたい。
だけど現場の仕事も放り投げだしたくない。

相談すると、木村俊樹プロデューサーは、

「行ってもいいけど 、MとⅠ本の了解をとっておけよ」

との発言。

で、制作チーフのMさんに言うと

「ライターは行ったほうがいい」

そういうものなのか。

では行こうかな・・・・

でチーフ助監督Ⅰ本氏に言うと

「どっちでもいいけど、
 僕はマツエダさんが
 こっちに残ってくれると信じてます」

と情に訴えてくる発言。

ていうか
マツエダじゃなくマツガエですから!マツガエ! !

仕事していると携帯にメール。

みるとプリティⅠ本氏から。

「信じてます」

そんな・・・情に訴えられても・・・  ○| ̄|_

いろいろ考えたけど
那須さんとやろうとした最後の仕事なんだから
やっぱり見届ける義務がある。

そう思って、初号試写には行くことにしました。
すみませんⅠ本さん。

で仕事はすべてタロに引き継ぎました。
心配だったけど
僕の仕事を引き継ぎ
かつ皿洗いとか雑務を率先してやり
きっちり仕事をこなしたタロは
みんなの評価が上がってました。

僕が東京現像所についたのはぎりぎりでした。

そして始まる『神の左手悪魔の右手』初号試写。

ちょっと部屋の温度が高すぎたけど
映画の温度もめっちゃ高かった!!

鋒山さんの音楽がすげえハマッテいて
なんだか那須さんのことも思い出して
結構泣いてしまいました。

ホラーだけど笑えて泣ける映画。

那須真知子さんいわく

「ダークファンタジー」

そんな感じのすばらしい作品に仕上がっています。
公開が楽しみです。

天国の那須さんは何点をくれるでしょうか。

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2005/12/07

本当に信頼すべき役者

某日のこと。
天気は前日と打って変わって晴れ。

「夜になると雨」

との話もあったが、結局1日晴れていた。

日陰こそ寒いが、日のあたる場所はぽかぽか陽気。

某市、某庭園内での撮影。順調に進む。
いや、「順調」というか、陽気ゆえか、ちょっと進行スピードが遅いようだ。
現場をじーっとにらみつけるチーフ助監督のI本さん。
近づいて聞いてみると、このままじゃ撮りきれないと焦りの表現。

冬なので日の暮れるのも早い。
外向けのカットを急いで撮る。

Tさん、Nくんの雑談に混じる。

こういう雑談を聞くにつれ
役者の本音と言うか
信頼すべきところが判るようになったりするのだなぁと。
Tさんの話。人柄。
ほんとうに信頼すべき役者と言うのはこういう精神を持った人なんだなぁと感想を持った。

Tさんから作家としてのあるべき姿勢についてのアドバイスをもらった。
TさんはNくんにも役者としての姿勢についてアドバイスをしていた。
Nくんは素直で真剣な眼差しでTさんの話を聞いていた。
スマートに真摯にアドバイスを出来るところもTさん、さすがの達人感があふれている。

Tさんが帰った後
残るシーンにはNくんとボウズたちの絡み。
アロッタ勢からは野木太郎と新津勇樹が出演。
ワークショップ勢からは塚原くんと宮川さんが出演。
この四人組はおいしい。
どのシーンもNくんと一緒だ。
前日はNくんを蹴っ飛ばしていたし、
今日はNくんを酔っ払ってからかうシーンだ。
酔っ払って気分良く高歌放吟。
何日も前からCDを渡し四名には歌を覚えさせた。
かなり事前からプレッシャーを与えていたので
現場でもきっちり歌えていた。ほめてつかわすw

てなかんじで
撮影終了。
撤収作業。

すべて終わって
チーフ助監督I本さん、サード助監督M木さん、
制作デスク兼僧侶E役の野木太郎と沖縄料理屋で珍味三昧、泡盛、なぜかキムチ鍋をつつく。
映画を愛する人たちとの飲み会は楽しい。

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2005/12/05

ただいま撮影中

昨日、某市にて、おいら脚本TVドラマ『破戒』の撮影。

『破戒』

ちゅうても、島崎藤村のアレではありません。

おいらのオリジナル時代劇です。

題名が島崎さんのアレを想起させすぎるということで、今後タイトル変更の公算高いです。

で、某市の某寺院にて撮影。

TAさん、NTくんというチョーびっくりビックスターが来たのでもう町は大騒ぎさ。

ところで、数日前まで、NTくんと同じグループに所属するMMくん主演の短編ドラマを撮っていたから、面白い発見がいろいろとあった。

こうも真っ向から方向性の異なる役者と言うのもすごい。

MMくんは天才。

リハーサルもそこそこに、ざっとすごい演技を華麗に決めてしまう。

だから現場はサクサク進む。

一方、NTくんは努力家。

自ら望んでかなりのリハーサルをやる。

撮影についても、モニターを覗き込み自ら駄目だし。

「もう1回お願いします」

「もう1回いいっスか?」

そんな感じである。

時間がかかる。

しかし、無数のリハーサル後出来上がってきたものは、ちょっと唸らされるような素晴らしい出来栄えであった。

MMくんとNTくん、いい感じの対極的ライバルなのだ。

おもわず「リングにかけろ」を思い出した。

あれは努力できるのが本当の天才みたいな結論だったけど、現実はどうか。

現実は答えを出さない。

無限の道を2人はこれからも競争していくことになるのだろう。

「偉大なる天才」と「偉大なる努力家」

そんな2人の演技バトルが見られるのも、

今回の短編TVドラマの見所かもしれない。

二つとも同じ日の同じ枠にやるから。

(もちろん2人はバトルしているとは思ってないかもしれないが

 はたから見ていて、いいライバルだなと思っただけなのだけど)

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2005/12/03

高円寺のヒロイン

僕が俳優女優、仲間を応援するのは、なにも彼ら役者たちが偉くなって、そっから仕事をもらえればいいなぁ、などという淡い目論見があってのことではなく、むしろ、もっと単純に、仲間として、みんなが映画やTVに出て、わいわいできればなんと楽しい世の中だろうと思うからである。もちろん、結果として、お互いが成功して、お互いに仕事が廻せるようになれば、それはそれで楽しいことだなぁとは思っている。

そんなわけで、先日も、とあるショートドラマのヒロインのオーディションをセッティングすることになった。

この案件。別に僕が脚本書いたり企画に関わっているわけではないので、ヒロインのキャスティングだけが僕の仕事である。

先方・・・つまり映画の製作者側は、新人無名の、しかも将来性のあるヒロインを演じることの出来るフレッシュで可愛げのある女優を探していた。

さっそく、僕は「アブレボ」女優勢全員のプロフィールを先方に渡した。

先方、プロデューサーと監督はそのなかから気に入った数名を選び、面接ということになった。また、今回、某TV局ドラマに出演してくれた数人もこの面接に参加してもらった。

結果・・・・・・。

合格したのは「広澤葵」。

以前僕の舞台に2度出てもらい、3度目も出るはずだったけど、足の骨を折って降板になってしまった女優である。演技的にはまだまだなところもあるけど、多くの人をひきつける不思議な魅力を持った女優である。また彼女は気持ちいいほど演じること映画の仕事に真剣である。

で、先日、その撮影が、早速、高円寺であった。

余りに急なことで、僕がマネージャーのようにして現場についていくことになった。

まだ20代の将来有望な○○監督は、テキパキという感じでもなく、かと言ってだらだらもせず、なにか流れるようにサラサラと撮影をすすめる。ほんと監督によって撮影のスタイルは千差万別なのだ。

「松枝!」

と僕の名を誰か呼ぶ声。

振り返ると、にこにこ笑う悪童一人。

「あ、田中さん!」

真説タイガーマスクのカメラマン。
田中一成さんである。

「なんでお前がここにいるんだよ」

と笑う。

「今日は、ヒロインをつれてきました」

偶然にも、われらがヒロイン、広澤葵のヒロインデビュー作品は田中一成さんがカメラを担当することになった。僕の助監督デビューも田中さんだしなにやら因縁めいてるなぁ。

現場でしばらく、広澤葵の演技を心配で見ていたが、なかなかどうして、どうどうと演技をしている。安心した僕は、別件の仕事があって現場を離れることにした。

「え、行っちゃうんですか」

と不安そうに広澤葵。

「平気だろ、もう?」

言うと、不安そうな顔は急にイヒヒと悪童の顔になり

「平気ッス」

と笑う。

そんなこんなで、僕は高円寺をあとにした。女優になる。そっから先の道はまだまだ険しい。しかし、まぁ、とりあえず、広澤葵にはドラマヒロインデビューおめでとうと言っておこう。

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2005/12/02

ひとまずの終わり

ついに『雨月物語』がクランクアップした。
感動的な終わりだった。

月蝕歌劇団のみんなに協力して作ってもらった撮影最終日。上がりの予定は夜中の2時だった。

脚本家だけでなくAPもやっている身としては、送りのバスやら何からをどうするのか非常な心配をしていた。

が、結果、11時には撮影はすべて終わった。

子役や月蝕歌劇団の美女たちを送り出した後、最終シーンの撮影。

残るは主演MMくんと、ヒロインのKTさんのシーン。

ほぼ順撮りに近いラストカットは、それぞれ単独のセリフ無しの表情芝居。

「ひとまずの終わり」に向け、たんたんと準備を続ける有能な映画スタッフたち。

気持ちを作るMMくん。KTさん。

僕はそんな状況になすすべもなくたたずみながら、僕脚本の初めてのTVドラマが幸福で透明な1つの純化された結晶になっていくのを目の当たりにした。

ガヤガヤ、テキパキと進められて来た撮影が、ラストカットでは急にシーンと静まり返る。すべての動きがゆっくりと緩慢になる。それはまるで、神聖な儀式でもあるかのようにオゴソカにしめやかにひとつづつ積み上げられた。

O監督の声が飛ぶ。
「よーい、スタート」
カチン
「・・・・・」
息を呑む。
「カット。OK、チェックお願いします」
「・・・・・」
息を呑む。
「チェック終わりました」
そしてすべてが終わった。

とは言うものの僕らスタッフにとりこれは前半戦。

近いうちに同じスタッフで、 新しき主演を向かえて、 短編ドラマ『破戒』の撮影がスタートする。

最初は「木村俊樹プロデューサー」にどやされて恐る恐るはじめたAPの仕事も、いまはなんだか楽しくて仕方がない。

すべてのスタッフの、意識の高いプロの仕事振りに感動し、そして、その一員でいられることはほんとうに幸運なことだと思う。

自分自身、まだまだやれることもやれていないが、あと残り少しでもチームに貢献できるように頑張りたいと思う、そんな松枝であった。

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2005/12/01

希望の党☆

総務省」と

総務省の外郭団体、その名も

(財)明るい選挙推進協会

が粋なイベントを行っている。

---------------------------------

選挙に行かないキミたちのために

5人の映画監督がメガホンを取った。

It's your choice

---------------------------------

サイトでは、現在、

河瀬直美監督作品『主人公は君だ!』

飯田譲二監督作品『空気』

を見ることが出来る。

1カ月に1監督作品の割合で公開されている。

12月には林海象監督作品が公開される。

そして来年元旦。

記念すべきときに

金子修介監督作品

『 希望の党☆ 』

が公開されることになるのである。

20分弱の短編作品で

『 神の左手悪魔の右手 』

につづいて、僕が脚本を担当することになった。

主演は渋谷飛鳥ちゃん

飛鳥ちゃんのお母さん役に山本奈津子さん

お父さん役には木下ほうかさん

そしてなんと楳図かずお先生もご出演である。

楳図先生と絡んだ作品・・・

『 わたしは真悟 』

『 神の左手悪魔の右手 』

両方ともに先生にご出演いただいているが

それは原作者だから・・・との判断が大きく働いている。

しかし今回の

『希望の党☆』

は違う。

内容は僕のまったくのオリジナルだから

楳図先生に出演していただくのは

純粋に

楳図先生を

「 すぐれた役者 」

と見てのことである。

台本的にもかなり満足のいく作品になっている。

楳図先生にもほめていただいた。

今回は現場に1回しか行かなかったから

できあがりを純粋に観客として楽しみにしたいと思っている。

みなさんもぜひごらんになって

そしてご感想をお聞かせください~~~♪

よろしく!

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