« 今年の終わりに(1) | トップページ | 今年の終わりに(3) »

2005/12/30

今年の終わりに(2)

芝居の初日があける日
僕は劇団員にはもうしわけなかったけど
那須さん、真知子さんにくっついて病院に行きました。

診察が終わって
那須さん、真知子さん、僕は寿司を食いに行きました。
もうしばらく食べられないかもしれないからな。
笑って、那須さんは最後のビールを飲みました。
真知子さんはニコニコしていましたが
この時には医者に告げられもう知っていたのです。
あと一ヶ月しか持たないかもしれない。
そう聞きながら悟られぬようにしていたのです。
タバコ吸ってくる。
と言って真知子さんは店を出ました。
戻ってくるのが遅く那須さんが探しに行きました。
真知子さんは泣いていたようです。

一週間が経ち
ベッドが空いたとこのとでようやく入院となりました。
那須さんから僕の携帯に電話がありました。
留守電になりました。
その声は消さずに取ってあります。
だから留守電を聞けばいまでも元気な那須さんの声を聞くことが出来ます。

病院前で待ち合わせ
たった一週間あわなかっただけで
那須さんは、見る影もなくやせ細っていました。
病院から言われた食事制限をすべてキッチリ守ったそうです。
入院の手続きのときに、僕は「息子」と書かせてもらいました。
ほんとうに僕と那須さんのキズナは親子に近かったのです。

映画を沢山撮る。
入院しても那須さんの気持ちは変わりませんでした。
スタッフルームが病室になっただけ
そう言う感じで、病室の那須さんと映画の話をしました。
5月には楳図さん原作の『神の左手悪魔の右手』を撮る。
そのための準備を急がなきゃな。
まずは台本。
初稿を書き上げた僕は那須さんの病室で
作者本読みをしました。
目を閉じて聞いている那須さん、そして真知子さん。
三人だけの本読み。
看護婦が途中で入ってきて驚いたりされながら。

|

« 今年の終わりに(1) | トップページ | 今年の終わりに(3) »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/56674/7900144

この記事へのトラックバック一覧です: 今年の終わりに(2):

« 今年の終わりに(1) | トップページ | 今年の終わりに(3) »