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2005/07/29

スティーブン・スピルバーグ監督「宇宙戦争」

見始めてしばらくたって
僕は
「ああ、これはプライベートライアンだ」
と感じた。

リアリティの追求の仕方が
非常に似ていると感じた。

実際、これはあたっていて
映画館を出てプログラムを読むと
スピルバーグのインタビューに
「『プライベートライアン』がSF映画になったら、
きっとこうなるだろう」
と本人の弁があった。

撮影監督もプライベートライアンの
ヤヌス・カミンスキーであり、
監督のその意をよく汲んだに違いない。

しかし
映画におけるリアリティとは
どういうところに存在するのか。

具体例を挙げればネタばれになってしまうので
抽象的なレベルで指摘してみると

おそらく映画作りにおいては
2つのリアルの追求方法があるのではないか。

1つには科学的な検証によるリアルの追及。
これはマイノリティ・リポートなどで取られた手法だ。
科学者のチームを作り、描かれる時代ならどういうことがあるのかということを追及する。
これは例えば、未来のこととか、
別の星のこととか、古代文明のこととか、
突拍子も無いことを描く場合に
有効なリアリティ追求の方法だと思う。
見るほうも、
ええ、そんなことあんのかよ、とか思いつつも
それはそれで結構、細かいことまで考えてあるから、
それを発見すると、
ああ、こういったこともあるのかもな
とリアリティを感得することができる。
より物理的だったり、経済的だったりそういうところに現れるリアリティというか。

もう1つのリアリティ追求の方向性として
心情の追求というかがあると思う。
例えば、
より多くの人が心のうちに抱えている問題
と同じような問題を抱える主人公の心情やら境遇を
丹念に描くことによって
ああ、こういうことってあるある
と思わせるというような方向のリアリティだ。

今回の宇宙戦争で
やはり前半すごいなと僕を思わせたのは
「宇宙人の襲来」を「ノルマンディ上陸作戦」
と同じレベルでリアルなものとして描いた
その映像と演技である。

宇宙船だとか街が壊れていくとか何からは
物理レベルのリアルの追求の範疇。

もう1つ
逃げ惑う主人公たちの対応やらセリフやら
心理レベルのリアルの追求もすごい。

ネタバレになってしまうけどひとつあげれば
宇宙人が襲来して逃げ惑う人々が
宇宙人の襲来という荒唐無稽を受け入れられないことの表現として
登場人物たちが会話しているのだが
「いったい何が起こったんだ?」
と聞かれて、現場を見ていたはずのトムが
「・・・・・・」
と言葉に詰まったところなどそうだ。
観客は宇宙戦争なんてネタバレタイトルの映画を観ているが
登場人物は宇宙人襲来なんて
なんらリアリティが無いのだ。
だから実際に見ていてもそうだとは答えられない。
で、「・・・・・・」となる。
僕は、そこでああ、リアルと思った。

それ以外にも、世界最強の軍隊を持っているはずのアメリカが負けるはずが無いという主張
それにも関わらず無力な人々
その描き方がとてもリアルであった。

しかし、このリアリティについて考えると
僕は非常に「アドホック」なものを感じる。
つまり911以降のアメリカというか911以降のアメリカを知っている世界というか
そういう人たちにとってのタイムリーで「アドホック」なリアリティというものだ。

 ・・・長くなったので、つづきはまたこんど。

宇宙戦争@映画生活

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