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2005/05/23

良書とは何か。

北田暁大著『嗤う日本の「ナショナリズム」
これについては、もっと早くに沢山言うつもりだった。
けれども、仕事の都合等あって延び延びになっている。

正直、内容については、まだ完全な理解に至っていない。
というか、この本は非常に不完全である。

だからアマゾンのレビューもそんなに高い評価ではない。

この混沌とした書物から
何か一定の見解を同じ土俵でひねり出すには
相当時間がかかりそうだ。

ただ、僕はこのこと・・・混沌としていること・・・・をもって、
本書の評価を下げようとは思わない。
むしろ逆である。

だから本の内容についていろいろ言う前に
ブログ的にメモっておきたいのは、
「良書とは何か」ということ
それについての僕の意見である。

HowTo本や何かのように
読者がある鋭い目標を持って読む本もあるだろう。
そういう本が良書であるためには
もちろんのこと、その目標を達成させるに足る内容かどうかということが問われる。

しかし、小説などは
明確な目標や目的があるわけではない。
もちろんホラー小説は怖がらせることに目標があるわけだが
しかし、そのホラー小説といえども
宣伝上のカテゴリーとして「ホラー」なのであって
作者的には、もっと違う何かであるはずで
そうなってくると、ホラー小説にとっても
怖がらせることは唯一無二の目標ではなくなってくる。
愛とは何かを伝えたかったり
愛の不可能性を説いてみたかったり
拝金主義を薦めてみたかったり
薦める自分を笑ってみたかったり
・・・そういう風に書いてみたけど
宣伝的には「ホラー」です。みたいな。

だから小説みたいな・・・目的関数のはっきりしないものにとって
「良書」というレッテルを貼ることは非常に難しい。

北田暁大著『嗤う日本の「ナショナリズム」
のような評論にとっても問題は同じだ。

だが、この本が僕にとって非常に良書であったのは事実。

そもそも僕は何かの明確な目的意識があってこの本を手にしたわけじゃない。
いや、少しはあって、それは窪塚洋介的な右翼精神
右翼精神というよりも、それは本書で触れられているように
もっとそれは、幼いカンカクなのだろうが、
そういうものが日本で堂々と語られ始めていることについて
なんでなんだろう?という疑問があったから
これについては、なんらかの回答の糸口があればな
とは思っていた。

で、結果、たぶん回答の糸口の糸口ぐらいはあるのだろうと思う。

しかし、この書物の中には、
思考というよりもプレ思考というか
半生の素材が沢山浮遊しており
なにか偉大な書物が出来上がる前の煮込み状態
まだ素材の型崩れが進む前の状態というか
煮はじめたばかりのシチューというか
まぁ、そんな状態なワケです。

腹を壊す人も居るだろう。

でも、同じような美味いシチューを作ることを
目指している人間にとっては
ああ、この素材を入れてみたんだなとか
この素材を入れるとあれなんだなとか
舞台裏が良くわかる料理というか
てっとりばやい関連書籍のレビューのようでもあり
受取側の目的のありようによっては
すごく有意義な書物だと思う。
無駄に情報が詰め込まれているというか。

だから僕のように
思っていることと違う何かに出会うこと
作者の意図に関係なく
情報やへたくそな解法も含め楽しめる人には
とても本書は良書だなと思うわけです。

あれ、これ、くさしてんのかな?

そういうわけじゃないです、
ほんと、読み返したくなる本です。

とくに本の結論が結論にふさわしくないので
ここを自分なりに書いてみる楽しみがある。
そいういう意味で不完全さを楽しめる思索創作系の人には
ぜひともお勧めの本です。

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