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2005/03/19

三島由紀夫「絹と明察」

ほりえもんv.s.日枝会長みたいな戦いの構図を見ると
三島由紀夫の「絹と明察」をちょっと思い出す。

三島 由紀夫: 絹と明察

「絹と明察」は
昭和29年に実際に近江絹糸で起こった労働争議をもとにして書かれている。

欧米流の労働概念を日本に持ち込んで
古き企業概念しか持たない経営者に対して
労働者の権利を主張する若き主人公
v.s.
古い日本的企業概念しか持たないワンマン社長

というような話だった。

結局、労働争議は社長が負け、
社長はその争議の最中に
心臓発作か何かで死ぬわけだけれども
三島はその社長の衰えた姿に
滅び行く天皇の姿を重ねるのである。

現実で言うと
ホリエモンが欧米流の資本主義思想を持った若者で
日枝さんが古い日本型経営思考の持ち主というのは大方間違っていないだろう。

ただ、日枝さんの場合は、
組合出身でもあるし鹿内家への反乱という過去を考えれば、
かつては自分も挑戦者側であったわけで、
かつての挑戦者がいまは体制側に立っている。
そこがなんとも小説以上のひねくりで面白いところではある。

「絹と明察」を読んだのは
日銀金沢支店に居た新人時代の話。

僕はいくつかの企業を担当として持っていた。
守秘義務なんちゃらがあるだろうから
具体的には書けないが
ほんと日本の企業ってすげぇ
というのが感想だった。
まぁ、主に製造業が担当だったわけだが
結構、家族主義的というか
昔の豪族がそのまま企業経営者になったような企業とかがある。
しかも、そういう企業は弱いんじゃなくて
むしろ果敢にどんどん先進的な工法や新製品を発明し
世界に冠たる企業になっている。
そんな例が北陸にはたくさんあった。

「三島甘いな」

というのがそん時の僕の感想。
だって、資本主義化されていない日本的な経営は
絹と明察に描かれるような哀れなものではなかったんだから。
たぶん、三島が日本の伝統や天皇制を
哀れなもの、滅び行くものと思いたかったんじゃないだろうか。
実際のところは、もっとタフなものであったのに。

ただし、これは製造業の場合。
フジテレビをはじめとする非製造業は別だね。

ともあれ「絹と明察」は面白い。
タイトルにも抜群のセンスを感じる。
しかし、どうしても東大生的な
頭でっかちの、理論先行的な物語
というかんじを拭うことは出来なかった。

そして、もちろん「東大生」というと
僕は那須さんを思い出す。
那須さんと三島というのは僕の中では
かなり近い存在だと思っている。
誤解を恐れずに言えば
那須さんは、
三島が三島自身こうありたいと願ったであろう三島だ
と僕は何度も思ったことがある。
そのことについても
いずれ書いていきたいと思っている。

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