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2005/02/11

実写デビルマンは三部作!?

2002年12月
東映の東京撮影所の中に
那須組のスタッフルームがこっそりできた。

「こっそり」というのは
まだまだ企画開発段階で
場合によっては立ち消えになる可能性があるということだ。

僕はいきなりそこのメンバーの1人になった。
(経緯については過去のblog参照)

当時のスタッフメンバー表には
僕を含め主要メンバーが11人しか書かれていない。
プロデューサーが3名。
それぞれ東映本社、東映アニメ、東映ビデオのプロデューサーである。
そしてアシスタント・プロデューサーがひとり。
監督は那須博之。
そのほかには撮影監督、美術監督、特撮監督、編集、
キャスティングプロデューサー、そして監督助手の僕というかんじである。
びっくりするのは皆偉い人だと言うことだ。
親分の集まりの中に僕が居るって事。

ちなみに監督助手といっても
いわゆる「助監督」ではない。
まだ現場が立ち上がる前、
「演出部」ができる前の段階のことである。
だから、ぼくは本当の意味で監督の助手として
企画を煮詰めるというのが仕事なのであった。

当初、那須博之監督の構想では
実写デビルマンは
ロードオブザリングのような3部作の一大叙事詩になるはずであった。

もちろん無謀である。
今の日本ではそんな3部作を作るなんていうのは無理だ。
資金も集まらなければ、作る体制も無い。
1本やってみて、あたれば次の1本。
またあたれば、さらに次の1本。
それが日本だ。
実際、那須監督の不朽の名作
ビーバップハイスクールシリーズ
は、そうやって作られた。

ところがデビルマンである。
この世界観とドラマを表現するには
1本2時間では足りない
誰もがそう思うだろう。

噂でしか聞いたこと無いのだが
実はハリウッドがデビルマンの実写化に動いたことがあったそうだ。
で脚本書きの段階まで行った。
出来上がった脚本のラストシーン。
それは、サバトでデーモンと合体した不動明が
デビルマンとなり、周囲のデーモンたちを殺戮する・・・
そこで終わっているらしい。
ハリウッドも三部作を考えたのだろう。
しかし、結果として、それが原因で却下になったそうだ。
そういう意味でも、1本2時間で、
合体からハルマゲドンまで
デビルマン世界をぜーんぶやる
これが僕ら那須組の最初の最初からの命題になった。

ちなみに、ぼくはこれを考えると
オリバー・ストーン「アレキサンダー」を思い出す。
沢山の情報を2時間なり3時間という映画という枠に
無理に押し込めちゃったときには
やっぱりザーッと事実を羅列する・・・
そういう感じになってしまうのじゃないだろうか。

もちろん映画とはそもそもそういうものだ。
人の一生なりあるいは時にはもっと長い歴史を
かいつまんでドラマ化する。
シーンとシーンの間は描かない。
それを付け足すのが観客の常識であったり想像力である。
(もちろん、想像を引き出しやすくするような工夫を
 脚本的にあるいは演出的にするのが脚本家や監督の仕事)

端から2時間では収まりきれない情報を
取捨選択して、無理のぎりぎりのない状態まで
途中情報をカットして羅列する。

パラパラ漫画のようなものである。

人が走っている。
その途中過程を緻密に表現していくと
百ページでそう遠くまでは走っていけない。
途中をある程度カットすると
かなりのスピードで隣の山まで走っていける。
しかし途中カットしすぎると
もう立ったり山登ったり宇宙に行ったり
一貫性のある物語が読めなくなる。

1本2時間の枠で表現しえない量の情報を
1本2時間で表現すると約束したこと
これが僕らの敗因の1つの大きなものである
そう思えるのである。

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コメント

最初からそうすればよかったのに……。

最初はアニメ版の要素も交え、間口を広く取ってFLAMEファン・原作ファン・アニメファンの最大公約数的な作品にする。劇場版戦隊・ライダー経験者をスタッフに入れれば尚良い。
で、好評が得られれば第2部、第3部に発展させていく。
こうすればよかったのに、今回のこの駄作は芽の出かけている状態の植物をせっかちに引っ張って枯らしたようなもの。
こんな駄作がまかり通って恥じないようでは、那須組どころか東映、いや邦画にも未来はないですね。

投稿: Zephyranthes | 2005/02/12 18:05

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