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2005/02/26

イニャリトゥ監督作品「21g」

駆け出しとはいえ脚本家である。
芝居では演出もする。
将来的には監督もプロデュースもしたい。
だから、どうやってこの作品を作ったのかな?と
常にどっかで考えて映画を観る。
それが良いことか悪いことかは判らないが
そういう風に観てしまうのは止められない。
もちろん映画を楽しむことにかけては
どんな観客にも引けを取らないつもりである。
批評家としてではなく観客として
映画や芝居を楽しむこと。
エンターテイメントの作り手として
とても重要な能力であるような気がする。

イニャリトゥ監督。
「アモーレス・ぺロス」の監督である。
言われれば確かに似た臭いがある。

この作品
構成、時間軸をごちゃごちゃにすること。
これについて語られることが多い。

ぼくも観ながら考えた。

(1)脚本はどのような「構成」で書かれているのだろうか?
  例えばもともとの脚本は
  時間軸どおりに書かれているが
  それを編集時に並べ替えただけかもしれない。

(2)このように「構成」を変えることによって何が言いたいのか?
  あるいは言いたいことなんか別に無いのか?
  つまり「構成」自体は「仕掛け」にすぎなく、
  別に何か特別言いたいことがあって
  この「構成」を採用したのではないかもしれない。

まず、時間軸に逆らう構成変更ということで言うと
「メメント」とか「パルプフィクション」とかいくつかの作品があったりする。

とくに僕は、
僕の好きなギャスパー・ノエ監督の「アレックス」を思い浮かべる。

あれは時間構成をグチャグチャにすると言うよりも
時間構成をまったく逆にする
因果関係を逆にする
と言う方法だった。

「時はすべてを破壊する」

というフレーズがラストに出てくるのだが、
つまり、「アレックス」は、レイプ事件を扱った物語であるとともに
「時間」という哲学的な概念を考えさせる映画であったとも言える。
しかも、それは、監督やプロデューサーの「ねらい」として。

同じように思う。
「21g」を見ていて
構成が
たんにグチャグチャにされたものではなく
ある意図を持って再構成されたものであることに気付く。
それは映画の中の表現でいうと
「それでも人生は続いていく・・・」
そういうことだ。

「アレックス」と同じように「21g」は
このような構成を採用することによって
物語であるとともに、「生と死」を直接取り扱う稀有な作品となった。

(1)については
脚本の書き手として非常に考える。
まぁ、思うのは、はじめは時間順で書いておいて
あとで構成を組みなおすと言う方法だ。

実際、21gのシナリオは3通りあるらしい。

実は脚本が3つあって、一つは出来上がった作品のように時間が交錯するもの、もう一つは各人物一人一人の物語の通りに進んでいくもの。それからシューティグ・スクリプトという僕が撮影をする通りに書かれた脚本があったんだ。観客を混乱させないようにする方法は、う~ん難しいな。物語が進む通りに書かれた作品でも、人を混乱させるような作品は沢山あるからね。とにかく言いたいことをクリアに表現する、これが重要なことだと思うね。(イニャリトゥ監督談話)
ということで少々一安心。
こんなすごい脚本を頭の中で構想して
書き下ろしたと言うなら、
ちょっと想像も付かないすごさである。

いずれにせよ
この映画は観ておいてソンはない。

僕的評価=★★★★★

満点である。
確実にイニャリトゥ監督の作品は
今後ともチェックしていかなくてはならない。

P.S.言い忘れたが
    心臓が痛くなる作品なので気をつけたほうがいい。
    僕は冒頭から比喩としてではなく
    物理的に心臓が締め付けられた。
    先日友人と携帯電話で医療機器が止まるってほんとかいな
    と笑いながら話していた。
    友人は笑いながら、
    「俺実は胸にペースメーカー埋め込んでいるんだ」
    びっくりした。
    「さわってみろよ」
    とぼくの手を引く。
    「いいよ」
    言ったが無理やり触らされた。
    「!」
    僕の額を脂汗が伝う。
    心臓が本当にきりきりと痛んだ。
    同じ痛みが
    この映画をみて僕を苦しめた。

21グラム@映画生活

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コメント

yabai.
ituka ha mirukamo sirenai sakuhin
nanode,kono kiji wo yomanai youni
simasu.
hyouka dake ha mite simatta.

投稿: 透夜 | 2005/02/27 00:37

ぜひ観てください。
感想が聞きたいです!

投稿: 松枝 | 2005/02/27 03:54

映画館でなくDVDで観たので、ズルして少し「戻し見」したトコもあります(笑)。
最近のチャプター機能を使うと、「この後のシーンはどれ?」といった「クイズ」にも使えそうなバラバラ具合でしたねぇ。

投稿: しのさん | 2005/02/27 10:59

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