« 上野未来出演「大阪プロレス飯店」 | トップページ | ベイビーダンス再演 »

2004/12/08

NODAMAP「走れメルス」

はい。これを見ずして2004年の演劇を語るなかれ。
そんな感じで今日のブログはスタートです。はい。
自分のことを棚にあげて言うのだが
最近どんな芝居を見ても、すごい感服切腹って才能と出会ってませんでした。
いや良いんですよ。良い芝居はあるんです。
だが、衝撃的というか、
僕の寿命を縮めてもいいからこの作者にたくさん作品書かせてください!
みたいな感覚になる人や芝居に出会っていなかった。
しかし昔、夢の遊眠社に出会ったときの衝撃は
その衝撃でした。感服です。命ささげます、毎朝台所に立ちます的な。
で、それ以来、野田秀樹氏の作品を見続けてるわけです。
作品ばかりでなく高校生のときなんか実際に会いに行って
体にサイン書いてもらって(異常)、
僕は西の野田秀樹になる!
とかなんとかご本人に啖呵きって
野田秀樹東大に対抗して京大に入ったわけです。
結果、いまんところ僕は西の野田秀樹にはなっていないが
一応、演劇とか映画とかを仕事にしようとがんばり中。
そんななか、年月も立ち、僕も野田さんも変わって行く。
夢の遊眠社以降もすばらしい作品を見せてもらった。
だが・・・最近の野田さん作品、僕的にはいまいちな感じがあった。
赤鬼も昔のほうが好きだったし、オイルも悪くないけどパンドラの鐘ほうが良かった。
オペラマクベスは美術中心で野田的言葉がないので退屈だったし
透明人間もおもしろくはあったんだけど、終わりの再解釈にがっくりだったし。
唯一歌舞伎はすばらしいと思っていたが、しかし・・・。
そこで、走れメルス再演。
正直、野田さん終わりかけてるのかなと物騒にも思ってたので期待ゼロでした。
が、こんなに演劇の可能性を見せ付ける芝居はそうないと思う。
しかもこの作品、30年余り前に、二十歳の野田さんの手によって書かれている。
この最近の野田作品のパンフレットの言葉のように
皮肉たっぷりカツ嫌味なオヤジ風のひねくれた挑戦状。
話はそれるけど、昔の野田秀樹の前書きはとんでもなく面白かった。
でも最近の前書きは年寄りの愚痴とか説教みたくなっていて
それが端的に野田秀樹の才能の枯渇をしめしているんだなぁなんて偉そうに思っていた。
それは外れていないと思うし、今回のパンフの扇田さんとの会話に
本人もそれを自覚している風なコメントがある。
けれども、「走れメルス」ですよ。なんといっても。
まず夢の遊眠社時代のような分けのわからなさ
そっから湯気のように立ち上ってくる切なさ
みたいなことを現代の、このクソわかりやすいゆとり教育の時代に、
やってみんなが理解するのだろうか、
なにより分かりやすさに慣れている僕が
昔のスピードについていけるのか、大丈夫かオレ、みたいな、そんな気があった。
で始まったときは、やばっ、置いてかれる・・・みたいな恐怖
それを一瞬は感じた。
しかし、とても良い席であったこともあいまって(席が良いことは重要)
いつしか僕は野田秀樹の言葉、イメージの奔流に巻き込まれ
気がつくと、混沌としたイメージと音楽のようなセリフが僕や観客の涙に変わっていた。
キャスティングの妙も指摘しておきたい。
中村勘太郎さん。そのにじみ出る誠実さがはなつ言葉。これがなくては成功はありえなかった。
一番のキーパーソンです。
かれの脚本からはみ出している肉体が僕らを感動させたと言ってもいいぐらい。
野田さんの脚本や演出は彼の肉体の伴奏であったとさえいえるかもしれない。
もちろんどっちが伴奏なんてことはないけど。
そして当たり前の深津絵里。当たり前じゃないんですよね、たぶん。
彼女の・・・これも肉体だけど、純文学少女的に生きている感覚から全てが決まってくる。
まさにふさわしいキャスティング。だから当たり前じゃないんだよね。
で、彼女が包み隠していた情念の焔が燃え上がり・・・勘太郎さんの誠実が人を殺す。愛する人を。
それこそが野田秀樹の芝居の真骨頂なのでした。
またそのニゴリすぎた純愛の映し鏡である河原雅彦、小西真奈美。
孤独でありスパースターであるのだがフェイクでもあり
表層的ながらも小さな誠実を抱いているそんな役をこなす河原雅彦もまた適役。
そしてなによりもかっこいい。それが小西真奈美。
ストーリー的にはしりつぼんで後半いない感じだけど
でも戦艦の長ゼリを言うところ、鳥肌が立って空を飛ぶほどかっこいい。
そのほかも良いとこだらけ。全部を褒めちぎりたい。
だけでなく、自分にいろいろ戒めたい。
よかった。今、メルスに出会えて。
説教じじい野田さんありがとう。
放り投げ上げられた挑戦状、たしかに受け取りました。

|

« 上野未来出演「大阪プロレス飯店」 | トップページ | ベイビーダンス再演 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/56674/2191927

この記事へのトラックバック一覧です: NODAMAP「走れメルス」:

» 走れメルス−少女の唇からはダイナマイト! [練馬から遠く離れて]
12月18日(土)マチネ @シアターコクーン    ああ、メルスで結構飛んできてくれてる。こんなに遅れてすみません。大したものではない割に長くなってしまいました... [続きを読む]

受信: 2004/12/25 23:31

« 上野未来出演「大阪プロレス飯店」 | トップページ | ベイビーダンス再演 »